特集

BEEAST密着取材_RCH

TEXT & PHOTO:桂伸也

【密着レポート第14弾:ROACH】

ラウドなサウンドの中に、沖縄特有のメロディ・センスを絶妙にミックスさせ、かつ「モッシュ・ピットを作らざるを得なくなる」様な衝動をフロアにあたえる卓越したステージングで大きな反響を得ているROACH。今年初めに発表した2枚目のアルバム「No Reason in the Pit」は、彼らのオリジナリティをそのままに更にライブ感を増した強力な作品として絶大な評価を得たが、更にその反応を大きくするが如くタフな全国ツアーを展開していた。そして最終日、彼らのこれからの真価を問うかのごとくワンマン・ステージが東京で行われた。彼らの音に魅了され、本能むき出しで彼らのステージを楽しむROACHのファン達。人々にそうせざるをえなくなる彼らの魅力とは一体何なのか?その秘密を探るべく、この日のステージに密着取材を敢行、今回はそのレポートをお送りしよう。

ROACH is:
Taama(Vocal)、くぼっち(Guitar)、勝也(Bass)、Daisuke(Drums)
◆ゲストメンバー:
左迅(from ギルガメッシュ:Vocal)、Miya(from MUCC:Guitar)

hana
 

 

 

1.ライブ前

 
セッティング
 
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ステージ上で大きなスペースを占めていたドラムセットの前で、Daisukeはクルーとコミュニケーションを交わしながら、セッティングを入念に行っていた。ドラムセットの置く位置一つにも強いこだわりがあるようにも思われる。ドラム以外の機材のセッティングにはそれほど多くの時間は掛からなかった。軽く音を出しながら体をほぐす勝也くぼっち。撮影班のスタッフとコミュニケーションをとっていた彼らだが、何とカメラを楽器に取り付け、奏者の演奏ショットを狙おうという目論見を相談していたのだ。録れれば相当迫力のある絵が録れそうだ。が、楽器が地面に付いてしまうのを相当気にしている。ここ一番に力が入ると楽器の端が地面に付くこともあり、激しいアクションもあるため、カメラが取れてしまうことも考えられる。カメラを取り付けるかどうかには難色をしめしていたが、結局数曲でやってみよう!ということになったようだ。
 
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サウンドチェック、リハーサル
 
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セッティングもほどなく終わり、いよいよ音出しが始まる。特に問題らしい問題も無く、Vocal無しで「No Reason in the Pit」のコーラスまでプレイし順調に進んだ。続いてTaamaが現れ、数曲のコーラスを合わせるが、声に不安があるらしく、どうしてもフェイクをしてしまう。強靭なシャウトと、張りのあるクリーンヴォイスを使い分けるTaamaは、喉には相当負担が強いようだ。普段はデリケートになっており、声を出さないときも度々吸入器でこまめに湿気を与えたり、ライブが終われば喉に氷嚢を当てたりしている。ラウドなサウンドのイメージがある彼ら、それほど細かいところに気を使わないイメージを持っている人もいるかもしれないが、実は逆で、エクストリームな音を追求する結果として、普段の生活やプレイの細部にかなり気を使っている。それを極めた結果として、音に絶対的な自信を持ち、聴くものを熱くさせるプレイができるのだ。しかしTaamaも覚悟を決め、リハを再開し始める。
 
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全体的な流れをざっと確認し、ステージの山場の確認を行う。まずはアンコールに想定した、Daisukeのドラムソロ。曲調で見られる、激しく疾走するようなリズムのイメージとは対象的に、聴かせどころをいくつも持ったDaisukeのソロは、玄人肌のドラムプレイヤーでも「こいつやるな!」と唸らずには居られない、テクニカルかつエモーショナルなプレイを見せる。そこから続いてゲスト二人を入れた「No Reason in the Pit」だ。実際のレコーディングにも参加している、の二人は、まったく違和感も無くROACHのメンバーと息もピッタリ。Taamaのヴォイスとは対照的に、コブシのような微妙な歌心を持った左迅の声は、曲の真の部分をTaamaの声と共振するように絡み合い、盛り上げていく。ギターソロではくぼっちMiyaのギター・バトル。予め作ったような素振りなど見られない、ジャム・セッションのようなそのフレーズの掛け合いも、リハの段階から見所十分だ。一通り確認を終えると、マイクを通して会場中のスタッフにTaamaが一言を告げた。「こんな感じで、今日一日、宜しくお願いします!」会場全体から拍手が沸き起こる。
 
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開場準備~開始前
 
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楽屋に戻ると、ステージでの緊張感はほぐれていつもの気楽な友達同士の会話が弾む。彼らの胸の内には、ステージに対しての期待と武者震いもあったかもしれないが、お互いと、ファンに対しての信頼感、そして彼ら自身の自信もあるのだろう、「あとはやるだけ」と、皆淡々とステージに向けて準備を進めていた。
 
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2.ライブ

 
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時は来た。開場は暗転し、ステージの背面スクリーンに映像が現れ、2nd Albumのオープニング「MADE IN BLOOD」が流れる。「Are you guys ready?」何度も流れてくるその言葉に文字通りあおられ、大きな期待を寄せる観衆達は、まだメンバーがステージに現れていないというのに、片時もじっとしていられない状況。そしてステージに現れたROACHの面々。Taamaはまるでゴングが鳴る前のボクサーのように体を一慣らしすると、鳴り響く轟音の中、フロアをあおり続ける。会場中を埋め尽くす歓声。「We are,We are ROACH!!楽しんでいこうぜ渋谷!!」Taamaの言葉に、更に会場が声で揺れる。これからの衝撃を予感させるゆったりしたビートから、Taamaのカウントより激しいリズムをたたき出し、オープニングナンバーの「no more silence」へと続く。ステージ開始と共に、フロアに現れるモッシュ・ピットとダイブの嵐。詞の一節にある「どれほど長く、感じられたことでしょうか これほどとは」という言葉は、ステージ上の彼ら、彼らを取り巻くスタッフ、そして彼らを愛するファンの切なる願いにも見えた。それを象徴するかのように、激しさを極めたパフォーマンスは、単なるバカ騒ぎではない、何か胸の内を生々しくさらけ出したような衝撃を会場一杯に破裂させていた。その熱は一時も休むことも無く、ダンサブルな「MAKE HERE HELL」、会場とTaamaが一体になって歌い挙げる「DNA Never Die!!」と、観衆の興奮を更にあおり続けていった。
 
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「ツアーファイナル、ワンマン、来てくれて有り難う!おい、渋谷!!今日は声がかれるまで叫んで帰れよ!」怒涛のオープニングを展開しながらまた更に会場全体をあおりまくるTaama。文字通り、声がかれることを目指すのがROACH流。ステージ最前列では何度投げ飛ばされてもダイブを続け、モッシュで押し、押されることに大きな満足を得る観衆。ROACHのサウンドがそうさせるのか、逆にROACHのサウンドを堪能するためにそうするのか。その真偽のほどなど意味をなさないかのごとく、ただその混沌としたフロアの中には、楽しくて仕方が無いという表情をした観衆で溢れかえっている。そんな観衆達を満足そうに見つめ、更にその声に張りを持たせるTaama。重量感抜群、かつグルーヴィーな勝也Daisukeのタッグが、太い支えとなりTaamaを、そしてROACH全体を支える。その上でくぼっちは、時に切れ味鋭い凶器のように、また別の時には遠くまで届きそうな広がりを作り出すギターを奏でる。猛烈な感情の高ぶりを見せるステージだが、コンビネーションの強さもROACHの持ち味だ。
 
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ツアーを振り返ったここまでの思いを、Taamaが語る。彼はツアーの初旬より、沖縄からここ東京で受け入れられたこと、そして第二のホーム・グラウンドと感じている旨をステージでよく語っていたが、それほどに彼の内にはその思いが強かったに違いない。この日、改めてその感謝の辞を観衆に告げ、これからの活動に対しての覚悟をフロアに誓った。その思いを込めて、「walk with death」「Don’t hate but love」へと続く。これらの歌にあるメロディには優しさと広がるようなスケール感がちりばめられており、この日もその思いの強さを、聴くもの心の中にしっかりと染み込ませていた。
 
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「今日は(みんな)ここに何しに来たの?ロックしに来た?俺もここへロックしに来たよ!暴れに来たんだろ?何やってもいいぜ今日は!!」
Taamaのその言葉を期に、強烈なドライブナンバー「Be hardcore in Kin Town」から「For you, I will」へとなだれ込む。その思いを込めるように、更に激しさを増すビートに合わせ会場が揺れる様子も更に激しさを増していった。
 
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そしていよいよクライマックス。「毎回毎回言ってるけど、沖縄から愛を叫びに来たぜ、って。小さい島だけど、(これだけの想いを)持っているんだ。(ここは)大きい島じゃねえか!?もっと言っていこうよ!!こんなのじゃ乗り越えられないぞ!!かかって来いよTokyo!!」Taamaが語り出すその一言ずつの言葉は、ライブのMCで流れてしまえば単に観衆をあおる一言だが、その意味の一つ一つを辿るとROACHの歌に込めた詞の中で、いかにTaamaの内面にある思いの強さが表されるかがよく分かる。その思いの強さこそがファン達の気持ちを掴み、人々を会場のモッシュ・ピットに向かわせるパワーとなっている。そしてラストナンバー「scream with love」へ。タイトルどおりの愛を叫ぶメロディ、そしてハーモニーが、人々の気持ちを打った。叫んだ愛に大きく応える観衆。その笑顔に満足した表情をたたえ、メンバーはステージを降りた。
 
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拍手と叫びの入り混じった、混沌とした叫びは、いつしか「アンコール!!」と叫ぶ声に、そしてその言葉も「One more!!」という叫びに変わっていった。長く続いたその叫びを、Daisukeの打ち鳴らすスネアの音が切り裂いた。不意を突かれた観衆は一瞬あっけに取られたが、その緩急自在の熱いドラムソロに耳を傾け、そこにリズムを委ね、拍手で合わせていく。徐々に早くなるリズムから、Daisukeの見せ場となる超絶プレイが連発すると、歓声は更に高く、不規則にあちらこちらから上がってきた。
 
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こうして目一杯の見せ場から、アンコールへの強い向心力が発生した。更にこの日のゲストとして、2nd Albumのゲスト・プレイヤーとしても参加していた左迅Miyaが登場、彼らの登場と共にTaamaが叫んだ。「Are you guys ready!?Are you guys “fuckin’” ready!?」その声に合わせ、まるでステージがリセットされたかのように熱気が高まっていた。飛び出したナンバーは、このツアー1のキラー・ナンバー「No Reason in the Pit」。皆の中心に立つTaamaと、それを支える左迅が、より一層ROACHのステージに迫力を増していく。ブリッジ頭のブレイクでは、くぼっちMiyaのギターバトルという貴重なシーンも見られた。更にはフロアにWall of deathが現れるほどの熱狂振り。続けて「MY FRIENDS FOREVER」で会場を楽しさの坩堝に叩き落とし、再びステージを降りる。それでも飽き足らない観衆は更なる「One more Time!!」コールを続けて再び彼らを呼び戻し、「涙の意味-namida no imi-」から、彼らが未来に向かう思いを込めたニューアルバム・リリースの告知より新たなステップへのスタートをTaamaより告げ、その新曲を最後にしっかりと決めた。「またモッシュ・ピットで会いましょう!!」Taamaが最後の言葉を告げた。混沌とした会場に激しさと強さ、そして勇気と優しさを振り撒き、ステージは幕を閉じた。
 
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3.ライブ後

 
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ステージが終わっても、名残惜しそうに中々会場を去ろうとしない観衆。ROACHのメンバーが思いを込めて作り上げたステージ、その真意がどれほど観衆に伝わっていたかがよく分かる。ようやく会場は観衆も掃けて中打ち。この日のステージを、その場に居る人たちと心から喜び合うメンバー達。彼らはステージでも、普段もまったく飾らない。いつも彼らのありのままの姿をさらけ出している。それこそが皆に受け入れられる彼ららしいステージ、そして彼ららしいサウンドを作り上げる原動力となっているのは明らかだ。
 
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◆公式サイト
http://www.roach.jp/
◆セットリスト:
SE.MADE IN BLOOD
M01.no more silence
M02.MAKE HERE HELL
M03.DNA Never Die!!
M04.耳を澄ませば
M05.言の葉-koto no ha-
M06.piece of Asia
M07.walk with death
M08.Don’t hate but love
M09.Be hardcore in Kin Town
M10.MY FRIENDS FOREVER
M11.For you, I will
M12.scream with love
【Encore】
Drum Solo~
E01.No Reason in the Pit
E02.MY FRIENDS FOREVER
【2nd Encore】
E03.涙の意味-namida no imi-
E04.オフスプ(仮名:新曲)

 
hana
 
MCで、Taamaがつぶやいた。「真っ直ぐ生きていきたいなって思っています。でも、今真っ直ぐ生きていくって辛いよね。叩かれることも多いし。真っ直ぐ生きていくには、エネルギーが必要なんだ。」この日の観衆の中にも、この言葉に心の中でうなずいた者も多くいたに違いない。
人によっては毛嫌いされることもあるモッシュ・ピットだが、ROCAHのライブはいつも、モッシュ・ピットができることで有名だ。彼らのライブで観衆は、皆嬉々とした表情で激しいぶつかり合いを繰り返す。そこに生まれるエネルギーこそ、真っ直ぐな道を進むための活力なのか?何故人々がこれを求めるのか?それは分からない。だが、その意味を求めること自体に大きな意味は無い。誰も嫌々モッシュ・ピットに突っ込む者などいない、そこにいたいから人は来る。彼ら自身がそのことを強く思うからこそ、「No Reason in the Pit」は生まれたのだろう。「意味など無くて 構わない 人が人として 生きるだけ 理由なんかいらないだろう」歌の一節で叫ばれるその思い。ROACHのライブがどれだけ素晴らしいものか?是非一度足を運び、その良さを感じてもらいたい。ひょっとしたら、貴方もモッシュ・ピットに飛び込みたくなるかもしれない。そこに「理由なんかいらないだろう」。
 

【ライブ情報】
『ROACH Presents 098-TOUR「098-2012」』
2012.9.22(sat) 桜坂セントラル
ROACH / 地獄車 / JaaBourbonz / SOUTH / kanja(ex.Bleach) / Neverlost / ALL JAPAN GOITH / オズ
ゲスト:UZUMAKI
2012.9.28(fri) 恵比寿LIQUID ROOM
ROACH / JaaBourbonz / FLiP / オズ / 7!!
2012.9.30(sun) 心斎橋DROP
ROACH / JaaBourbonz / オズ / Neverlost / SOUTH / Fold or Raise / ロコビッチ
 
「ROACH”OKINAMERICA”RELEASE PARTY!!」
2012.10.19(fri) 下北沢SHELTER
ROACH / But by Fall / AIR SWELL
2012.10.23(tue) 横浜 F.A.D
ROACH / But by Fall / KNOCK OUT MONKEY / LOCA / A Barking Dog Never Bites
2012.10.25(thu) 名古屋 UPSET
ROACH / KNOCK OUT MONKEY / But by Fall / The Hitch Lowke / and more…
2012.10.26(fri) 神戸太陽と虎
ROACH / KNOCK OUT MONKEY / REAL REACH / The Hitch Lowke / THE INFINITY STAR-WORLD / UPLIFT SPICE
2012.10.28(sun) 心斎橋CLUB DROP
ROACH / RIZING2END / T.I.P / Laxity / HARVEST / JUST CHRONICLE / INSANITY / THE GAME SHOP
2012.11.6(tue) 京都 MOJO
ROACH / DUFF / JaaBourbonz / SOUTH / and more…
2012.11.13(tue) 新潟RIVERST
ROACH / KNOCK OUT MONKEY / LOKA / ARTEMA / But by Fall
 
「ROACH x Fake Face presents 叫音祭
ROACH”OKINAMERICA”RELEASE PARTY!! In 仙台MACANA」

2012.11.14(wed) 仙台MACANA
ROACH / Fake Face / KNOCK OUT MONKEY / But by Fall / ALL OFF
【O.A】Artfilm


 

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ROACH 3rd mini album
『OKINAMERICA』

DPCD-10002/2.500円(税込)
2012年10月03日リリース

 

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