特集

BEEAST密着取材_Kelly_SIMONS BAD TRIBE

TEXT:桂伸也 PHOTO:ヨコマキミヨ

【密着レポート第6弾:Kelly SIMONZ】

本誌BEEASTのコラムでもすっかりお馴染みの超絶ギタリスト、Kelly SIMONZ。その彼が、パーマネントなプロジェクトとして発足した3ピース・バンド、BAD TRIBE。彼のギターに負けずとも劣らない強力なバックアップ・メンバーを従え、彼の才能の一端をまた新たな形で世に披露すべく奮闘を続けている。この日のステージは、そんな彼らの今後を占う意味でも、一つの試金石となる重要なライブステージ。東京キネマ倶楽部の激的なステージを、彼らはどう彩ったのか?単なる音楽性の追求に留まらない、彼らの熱いステージの模様と、これを構成する為に情熱を注ぐ彼らの模様を追うべく、前日の意気込みを交えて、BEEASTでは密着取材を敢行した。

BAD TRIBE is:
Kelly SIMONZ(以下、Kelly:Guitar & Vocal)、Tim Miller(以下、Tim:Bass)、Yosuke Yamada(以下、Yosuke:Drums)
hana
 

 

序章:ライブ前日
ステージ前日のリハーサル中、Kellyに、ミニ・インタビューを試みた。
 
—:BAD TRIBEというバンド名の意味は?そこに込められた信念とはどのようなものでしょうか?
 
Kelly:若手であるYosukeが、「悪い奴になりたい」と言い出しまして(笑)なぜなら、僕とTim先生は、どう見てもいい人に見えないから、という理由で(笑)まあ、この雰囲気からそういう願望が生まれたのでしょうね。そういう意味で「BAD」を入れて欲しいというリクエストは彼でした(笑)僕の好きなバンドで、BADLANDS(Ozzy Osbourneのギタリストとして活躍したJake E.Leeが結成したバンド)っていうバンドがありましたよね。そのカッコよさから「BAD ~」をつけたバンド名にしようということになったのですが、Tim先生がアメリカから参加してくれたこともあり、いろんな民族の集まりということで「TRIBAL」という言葉が出てきました。これは僕も好きな言葉なのですが、それを結合してBAD TRIBEという名前にしました。みんなも覚え易い名前であるということ、そして「BAD」であること。だからこの3人でプレイする時はBAD TRIBEで行こうということになりました。
 
—:このステージ、そしてこれからの活動に対する意気込みを聞かせてください。
 
Kelly:この公演は現在定期公演化しようとしているのですが、まだ年に多くて2回くらいなので、できれば月一くらいでBAD TRIBEを、というようになればと皆さんと力をあわせて頑張っていきたいです。また、やはり日本だけでなく海外にも行きたいと思っています。こうしてTimも参加してもらっていますし。僕がハリウッドに留学していた時の先生がTimで、僕の教え子がYosukeだったというつながりなのですが、国際的且つジェネレーションを跨いだ部分が、BAD TRIBEのセールス・ポイントだと思っておりますので、是非ワールド・ワイドに、勿論アジアの方にも行きたいと思っています。アルバムは、レコーダーを1つ置いて、3人一発取りみたいな、プリミティブなものを作るような挑戦をしてみたいと考えています。今回のステージもかなり演出を考えていますので、元々僕の持つクラシカルなイメージと、BAD TRIBEのアーシーで、ワイルドな感じを合わせて出していければと思っています。夏までに体も鍛えていきたい(笑)

 
hana
 

1.ライブ前(13:30~)

 
13:30~セッティング
 
黙々と進められたセッティング。そんな中でもKellyを始めとしたメンバーには、何かリラックスした雰囲気が流れていた。メンバーの中でも一番若いYosukeは、真剣にドラムのセッティングを続ける。ベテランのTimは、中でも一番リラックスした表情。当紙のカメラマンを彼に紹介すると、笑顔で挨拶に応じてくれた。「若クカッコヨク撮ッテネ!」彼のそんな明るさは、このトリオの中でも、活力を与えている。昨日のスタジオリハでも、いつも真剣でクールなYosukeが、彼と話していると自然に笑顔がこぼれ楽しげな雰囲気になっていたのが印象的だった。
 
Photo Photo

Photo Photo

14:15~サウンドチェック
 
セッティングも終わり、サウンド・チェックが開始された。大きな問題も無く作業は進んでいく。最後に音色の多いKellyのギター。何の気なしに弾かれるギターだが、クリーン・トーンをチェックする際に、LOUDNESSの「Shadows of War」のイントロを弾いてみたり、時にVAN HALENの「Panama」のリフが出てきたりと、彼のハード・ロック/ヘヴィ・メタルに対する愛情が垣間見られた。どうしてもその超絶テクニックがフィーチャーされがちな彼だが、ふとした瞬間に、その原点には、このような「ギター・サウンドを楽しむキッズ」であるときが存在したという一面が垣間見られた。(彼の原点については、コラムの方にも記載されている為、是非参照してみて欲しい。)
 
Photo Photo

Photo Photo

14:30~リハーサル
 
サウンドチェックも終わり、いよいよリハーサルへ。セット・リストのナンバーから、5曲目の「Soul Free」、そしてバラード、次は見せ場と、バランスのいい選曲でリハーサルは進んだ。特に大きな問題なくリハーサルは進み、本番さながらのそのプレイは、それを見ているだけでもテンションが上がりそうなサウンドだが、そんな中でもモニターのサウンドを細かくチェックし、PAに指示を出していくKelly達。ショウさながらのパフォーマンスは見せながらも、同時にしっかりと自分達が出している音を意識、分析する冷静さを持っていることを改めて伺わせた。そんな中、Kellyお得意のジョークが、陽気なTimをからかうように飛んだ。「彼はいつも4語くらいの日本語で会話するんですよ。“マジ~!?”とかね(笑)」
 
Photo Photo

Photo Photo

16:02~準備
 
リハーサルは終了し、オープニングの段取りを済ませた後は、会場オープンに向けての残り作業へと移った。楽屋では、彼らが自らメイクアップ等の準備を進めていた。ビジネスとして大きな組織を持たない彼らは、ほぼ身の回りのことを自分で行っているという。KellyYosukeのメイクを手伝いながら、一言「どこかにいいスタイリストはおらんかね~。」
 
Photo Photo

Photo Photo

hana
 

2.ライブ(19:30~)

 
オープン後、フロアの最前列を埋めたのは、ギター・キッズ?それとも往年のロック・ファンだろうか。みんなワクワクした表情で、彼の登場を今か今かと待ち構えていた。そして、遂にスタート。リラックスした表情で現れた彼ら。が、ガツン!と一発音が鳴ったとたんに見せた、そのテンションの高さ、切り替えの鋭さには、驚愕というほか言葉が見当たらない。ブレイクで現れたKellyのシャウトと、彼の一言で、フロアには多くのメロイック・サインが立ち昇った。「We are BAD TRIBE!!」
 
Photo Photo Photo Photo

Photo Photo

劇的なオープニング・ナンバー「Revelation」でスタートを切ったステージ。それに続いていくナンバーは、Kellyの真骨頂ともいえるクラシカル・メタルのみならず、アメリカン・ロック・テイスト溢れるバラードあり、そしてシャッフル感たっぷりのブルーズ・ナンバーありと、非常にバラエティに富んだ選曲。一昔前のハード・ロックのステージでは見られることはなかったであろうその取り合わせは、彼の音楽に対する愛情の深さと、広い音楽を受け入れる器の大きさを感じさせた。要所で見られる何気ないフックの中で、TimYosukeとのコンビネーションも、アクションを交えてしっかりと決められ、お互いのミュージシャンとしてのスキルの高さも伺わせた。また、要所で設けられた絶妙なベースソロ、ドラムソロでは、彼らがこのプロジェクトに呼ばれた理由をしっかりとオーディエンスに伝えたかのようにも見えた。
 
Photo Photo

Photo Photo

絶妙なギター・プレイで観衆を魅了した後には、Kellyのソロタイムに移った。前半2曲はアコースティック・ギターによるソロ演奏。Kellyのプレイでよく聴かれるクラシカルなパッセージとはまた異なる、繊細なアルペジオと激しいコード・ストロークでグルーヴを出すフラメンコ・ギターのようなテイストを醸し出していく。また一味違う、彼の別の面がオーディエンスに披露され、オーディエンス達はもう唸るほか無いといった状況だ。ソロタイム後半は、Kellyがお得意としている、クラッシック・ナンバーの演奏。「本当はいずれ、オーケストラを従え演奏するのが夢なのですが・・・」と語りながら、まるでステージにそのオーケストラ一同が見えてくるような迫力と情熱。単なる過去の名曲の模倣ではなく、クラッシックのプレイヤー達がその曲の真意を理解し練習、リサイタルに望むのと同じようにその曲を知り尽くし、彼の持つありったけの感情を、そのクライマックスでギター・プレイに込めたKelly。劇的な「悲愴」がしっかりと決まると、クラッシックのコンサートで鳴り響くような拍手が沸き上がり、心の中で誰かが「ブラボー!」と叫んだような気さえ思わせるような賞賛の熱気が、会場に立ちこめた。
 
Photo Photo

Photo Photo

そしてステージは後半へ。鬼神のようなプレイでフロアを圧倒するKelly。時には彼の奏法のイメージでも強いクラシカルな色を封じ、フラッシーなプレイを連発しながら、時にGary Mooreのような、情感豊かなロング・トーンで歌心をたっぷりと披露。その中でも聴かれる彼のヴォーカルは、ギター・プレイに負けず劣らず高い力量を持っていることを示した。彼の優れたヴォーカルは、このグループにヴォーカリストを新たに入れないジレンマのようなものを感じさせるが、この一場面は、その様子を強く表わした一幕でもあった。
いよいよクライマックス。彼の代表曲でもある「OPUS#1」から、最後の「FLY AWAY」まで、怒涛の展開でステージは進んだ。彼の真骨頂でもある超絶テクニックの応酬、それを全く表情も崩さずに弾きこなしてしまう彼のプレイには、どんなハイテクニックを自負するプレイヤーでも舌を巻くほどだ。それは、ライブで彼を目前にしてこそ、その真意を理解できる、そのことが改めて証明された瞬間でもあった。そして、エンディング。
 
Photo Photo

Photo Photo

彼の超絶プレイにノックアウトされ、一瞬放心状態になりながらも、彼らを再びステージに呼び戻すが如く湧き上がる拍手。「BAD TRIBE!」と叫ぶ声は、次第に大きな叫びへと化していった。そして再びステージに現れる彼ら。2回の呼び出しに応じた彼らは、この日のステージをプレイしきった喜びを、メンバー紹介礼と共に告げ、アンコールに応じた。最後にプレイされたのは、「Eteral Flame」。彼の音楽に対する情熱の深さを表すような激しいその曲は、決してこの日のステージの終わりではない、新たなステップへの第一歩であることを示していたようだった。そのことをしっかりと示すように、フロアに向けて伸ばされた彼のメロイック・サイン。
 
Photo Photo

Photo Photo

hana
 

3.ライブ後(21:00~)

 
ステージをやり終え、楽屋に戻った彼ら。晴れやかな彼らの表情には、この日のステージをやり切った満足感が溢れていた。関係者への挨拶も、疲れた表情1つ見せず、このステージをやり終えた充実感に満ち溢れ、自然に話も進む。関係者が連れて来たほんの幼い子供にも気さくに話しかけ、彼のピックをプレゼントするなど、人間としての器の広さも感じさせるシーンが垣間見られた。
 
Photo Photo

Photo Photo


◆公式サイト
http://kellysimonz.com/
◆セットリスト:
M01.Revelation
M02.CRY FOR LOVE
M03NEVER SAY GOOD BYE
M04.STILL
M05.Soul Free
M06.Blue Monday
M07.ANGEL EYES
M08.SOLITUDE -Kelly Solo
M09.H-I-K-A-R-I -Kelly Solo
M10.四季 -Kelly Solo
M11.トッカータとフーガ
M12.悲愴
M13.Anything Goes
M14.Pray for the Moon
M15.0PUS#1
M16.STAY IN MY HEAART
M17.FLY AWAY
 
【Encore1】
E01.Silent Scream
E02.TIME
 
【Encore2】
E03.Eteral Flame

 
hana
 
ライブレポート中には記載しなかったが、実は1つのエピソードがある。オープニングに流そうとしていた動画があったのだが、オープニング寸前で機材のトラブルが発生、それは叶わぬこととなった。普通のライブであれば大事故でありながら、Kellyはそんな状況に全く臆せずステージに登場し、お得意のジョークを織り交ぜた、親しみのある語りで観衆を沸かせ、フロア側が抱いていたステージ・オープンへの期待感を更に膨らませた。その真意には、自らのステージをよりよいものにしようという情熱の深さと、彼自身の持つサウンドに絶対的な自信があり、それをもってすればどんなことがあってもステージを成功させることは出来るという信念に基づいた行動であり、それを会場の皆が理解していたからにほかならない。そんな彼が放つ魅力、そこには、「BAD=悪い」という意味すら捻じ曲げ、彼ら自身を象徴する言葉に代えてしまう力すら感じる。そんな彼と、その仲間達を今後も引き続き追ってみたい。そこには、ロック自体が今最も欲しているスピリッツが、数多く渦巻いているからだ。
 

★読者プレゼント★
Kelly SIMONZのサインを、抽選で1名様にプレゼント!(締切6/4)
 
ご応募方法は“BEEASTファンクラブ”の方にお届けする「週刊ビースト瓦版(無料メルマガ)」にて記載いたします。
 
BEEASTファンクラブ”はコチラの『BEEASTファンクラブ』ページより簡単登録(完全無料)可能!
 
※『ファンクラブ』ページにある登録内容を送信してください。携帯からアクセスされている方はコチラに空メールを送信していただくか、ページ上のQRコードを読み込みの上メールしてください。仮登録の登録画面のメールが届きます。
【重要】携帯電話のドメイン指定受信を設定されている方は、prius-pro.jpのメールを事前に受信できるよう設定してください。