特集

TEXT & PHOTO:桜坂秋太郎

EARTHSHAKERアースシェイカー)。このバンドが日本のロック史に与えた影響は計り知れない。日本のハードロックの一つの特徴である“メロディアス”は、EARTHSHAKERが創り上げたと言っても過言ではない。デビューから30年近くが経とうとしているが、その間に多くのフォロワーを生み、アーティストへの影響はジャンルを超えている。
 
彼らがデビューしたのは1983年。当時私は、今で言う“メタルキッズ”であり、すでにバンド活動も始めていた。雲の上の存在だった外タレとは違い、日本のロックバンド、特にハードロック系のバンドは貪るように聴いていた。そしていつかは自分もそのステージへ行きたいと願った、夢のたわごと的なドリーマー時代だ。
 
音楽評論家である伊藤政則プロデュース、そしてIRON MAIDENAdrian Smithが提供した楽曲もあり、話題性抜群のバンドとして、EARTHSHAKERに強い印象を抱いた。迷うことなく買ったレコード、1stアルバム『EARTHSHAKER』の衝撃は今でも忘れられない。こんなに心に響いてくるロックがあるのか!燃えたぎるような演奏の中で、日本語とメロディが見事なスパイラルを描いていた。
 
EARTHSHAKERのメンバーは、デビュー当時と変わらない。西田“MARCY”昌史(Vocal)・ 石原“SHARA”愼一郎(Guitar)・甲斐“KAI”貴之(Bass)・工藤“KUDO”義弘(Drums)の4人。これほど長くEARTHSHAKERが愛され、バンドを求める声が多いとは、若い頃のメンバーは想像もしていなかっただろう。バンド活動は途中紆余曲折あったと思うが、ファン心理からすると、こうしてライヴを観られるだけでも本当にうれしい。
 
私が前回EARTHSHAKERを観たのは、デビュー25周年記念の渋谷O-EAST。2008年の事だ。実はその時の公演を観て、私の中でくすぶっていた“ロックメディア”をやる!という夢を、今こそ実現しようと心に決めた日なのだ。私的には大きな意味のあるライヴだった。心の底からEARTHSHAKERのナンバーを、大声で唄う事で何かが吹っ切れた。そして本誌BEEASTは、翌年2009年4月に創刊した…。
 

2012.3.31 EARTHSHAKER 「PRAY FOR THE EARTH」ツアーファイナル密着

13:00~ 機材セッティング

 
 



 
 


15:00~ サウンドチェック

 
 



 
 



 
 


開場前にフロア後方の取材用定位置についてスタンバイ。しかし開場すると一瞬でオーディエンスがフロアを埋め尽くす。まるで流れる川を見ているかのような入場スピードに驚く。フロアはまさに鮨詰め状態だ。取材位置を最後方のPAブースまで移して、オーディエンスに場所を少しでも確保してもらう。
 
開演定刻。SEが流れ会場が暗転。メンバーが登場するとオーディエンスの声が大きくなる。「KINGDOM STORY」でスタート!『PRAY FOR THE EARTH』のツアーなので当然のことながら、アルバムからのナンバーが多いことは想定できる。それ以外は何をプレイしてくれるのかも楽しみだ。隣にいるオーディエンスが大きい声で「ゆずれないものがある~」とサビを唄っている。
 
間髪入れずに「火の鳥」、そして4ヶ月に及ぶツアーのファイナルのお礼から、アルバムタイトルナンバー「PRAY FOR THE EARTH」。実にEARTHSHAKERらしいと形容したくなる、素晴らしいメロディアスナンバーだ。この曲の歌詞に「START YOUR ENGINE」というキーワードが出てくるが、私のエンジンスタートの実体験、2009年のBEEAST創刊に想いが被る。そういう聴き方もロックの醍醐味だ。
 
   

   

続いて、アルバム『PASSION』の1曲目だった「COME ON」。『PRAY FOR THE EARTH』ではリアレンジして再録されているが、このワイルドなスタイルもカッコイイ。MCをはさんで「VAMPIRE」そして「COLOR」へ。EARTHSHAKERの持ち味は、歌の上手さは言わずもがな、私的にはぶ厚いリズム隊に、ギターソロの甘く伸びるトーンがたまらない!取材していることを忘れてしまうほどステージに釘付けだ!
 
今までの思い出達に感謝をして作ったというMCから「BITTER SWEET」。タイトなドラムが腰に心地よく響く。MARCYが叫ぶ「もっと誇らしく!もっと強く!」オーディエンスは腕を振り上げてそれに応え、『そこにある詩』に収録されている「強く咲け」が始まる。そしてお馴染み、強烈なKUDOの「Drumsソロ」。大歓声で終了。
 
ステージは後半戦。『THE COURSE OF LIFE』の1曲目「SURVIVE」、そして『BIRTHDAY』の1曲目「BIRTHDAY SONG」へと繋ぐ。オーディエンスに感謝する話、来年はデビュー30周年になる話、マーシーのMCが心にしみる。ここはバラードが聴きたい。そう思った次のナンバーは、『REAL』から名曲「SAY GOODBYE」!このナンバーがリリースされた1993年を思い出し、涙が出てくる。必死にファインダーをのぞくが、ぼやけてよく見えない。
 
   

   

そして『MIDNIGHT FLIGHT』の1曲目「T-O-K-Y-O」。リアレンジされた『PRAY FOR THE EARTH』バージョンも素晴らしい。取材中にもかかわらず、我慢ができなくなり、KAIのハーモニーメロディをすべて唄ってしまう!スピーカーから聴こえるマーシーの声に合わせて勝手にハモる。最高だ!たまらない!続けざまに『EARTHSHAKER』から「WALL」!オーディエンスの動きが激しくなり、腕を振り上げ、全身を使ってビートを感じている。
 
イントロでステージに向けた拳の数が増える!そう、日本のハードロック鉄板ソング「MORE」だ!男性のオーディエンスが特に熱く体を揺らしている!リフ・メロディ・ソロ・構成、すべてが完璧な日本の宝的なナンバー!まさにロックアンセム!勢いにのったまま、一緒に唄おう!とMARCYがラストナンバーをコール。
 
ラストナンバーは、『MIDNIGHT FLIGHT』から「RADIO MAGIC」!お約束の「WONDER RADIO」のハーモニーパートはもちろん、それ以外の歌詞もオーディエンスは唄いまくり!老若男女、一人残らずオーディエンスが唄うというのは感動的だ。皆で唄えるハードロック、この素晴らしさはEARTHSHAKERならでは!
 
   

   

アンコールに登場するメンバー。ファンへの語り尽くせない感謝の想いを述べるマーシー。『PASSION』の最後を飾った「ありがとう君に」。私は、ふと武道館公演を思い出す。あの時、武道館では多くの女性ファンが泣いていた美しいナンバーだ。時は…そう1986年。2012年もこのナンバーで泣いているオーディエンスがいる。何と素晴らしいことだろう。
 
アンコールラストは『TREACHERY』からのシングルナンバー「走り抜けた夜の数だけ」。オーディエンスもサビの大合唱も凄いが、KAIKUDOのリズムが気持ち良すぎる!鳴りやまないアンコールに、二度目のアンコール。6月からはあえて小さい会場を回る『天下御免のPASSIONツアー』が始まると言うMCに喜ぶオーディエンス!これは面白そう!
 
『SMASH』から「PIERROT」とグルーヴィーな「CHEAP TROUBLE」、そして本日のオーラスは、シャッフルビートのメロディアスナンバー『MIDNIGHT FLIGHT』から「失われた7224」だ!サビのハーモニーパート「お前は~」で、フロアとステージが一つになる!オーディエンスの熱気とメンバーの熱気が、会場の下北沢ReGに渦を巻いている!まるでその渦が見えるよう!MARCYが大きく叫ぶ「ありがとう!」。
 
   

   

来年はデビュー30周年。今なお走り続けているEARTHSHAKER。終演後のメンバーの笑顔が実に素晴らしい。EARTHSHAKERを好きで良かった。本当にそう思えるライヴ。あらためて飛び抜けたメロディセンスに脱帽だ。アフターには、ファンとの交流をしながらのお見送り。こんなファン思いのバンドは、なかなかない。これからもっとEARTHSHAKERを好きになってしまいそうだ。
 
私は俗に言う80年代の“ジャパメタ”ムーヴメントをリアルタイムに体験してきた。関西から始まったそのムーヴメント中、EARTHSHAKERがこうして今も多くのファンを魅了し、素晴らしいナンバーをプレイし続けていることは、心の底からうれしく思う。日本のロック界に“メロディアス”という概念を持ち込んだ功績は、これからも変わることなくEARTHSHAKERの勲章として輝き続けるだろう。
 
終演後、楽屋へ行くとメンバーが暖かく「お疲れ様!」と声をかけてくれる。約30年前、「この兄ちゃん達みたいになりたい!」と思ったバンドの楽屋にいることが、今は少し不思議だ。読者プレゼント用のサインをもらい、オフショットも撮影。一応仕事はこなしている…。もう舞い上がるような年齢ではないが、私の気持ちはすっかりティーンエイジャーだ。フレンドリーなEARTHSHAKERを、これからもBEEASTではガッチリ応援していきたい!
 
     

20:30~ 終了撤収

  
 


 
 



 

 
◆EARTHSHAKER 公式サイト
http://www.earthshaker.jp/
PRAY FOR THE EARTH Final
 
◆セットリスト

M01. KINGDOM STORY
M02. 火の鳥
M03. PRAY FOR THE EARTH
M04. COME ON
M05. VAMPIRE
M06. COLOR
M07. BITTER SWEET
M08. 強く咲け
M09. Drumsソロ
M10. SURVIVE
M11. BIRTHDAY SONG
M12. SAY GOODBYE
M13. T-O-K-Y-O
M14. WALL
M15. MORE
M16. RADIO MAGIC
M17. ありがとう君に -encore1-
M18. 走り抜けた夜の数だけ -encore1-
M19. PIERROT -encore2-
M20. CHEAP TROUBLE -encore2-
M21. 失われた7224 -encore2-
 
◆“天下御免のPASSION“TOUR Vol.1
 
2012年06月15日(金)【京 都】夜想
2012年06月16日(土)【名古屋】HeartLand STUDIO
2012年06月17日(日)【金 沢】EIGHT HALL
2012年06月23日(土)【代々木】Zher the ZOO YOYOGI
2012年06月24日(日)【八王子】X.Y.Z.→A
 
◆HAMMER BALL 2012 supported by ZEPP / WESS
2012年09月01日(土)【札 幌】Zepp Sapporo(イベント出演)
 
◆SHARA(mintmints Boogie night2 )
2012年07月08日(日)【新代田】Boogie Stock
2012年07月28日(土)【新代田】Boogie Stock


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