特集

BEEAST太鼓判シリーズ第5弾アーティスト『快進のICHIGEKI』

TEXT:桂伸也 PHOTO:ヨコマキミヨ

本誌BEEASTが自信を持ってプッシュする太鼓判アーティストの特集!第5弾は快進のICHIGEKIをお届けします!メンバーは、コータ(Vocal)・久雄(Guitar)・(Bass)・佑一(Drums)の4人。絶妙なライブ・パフォーマンスで大きな話題を集めている彼らの魅力を、インタビュー及び彼らの今後を占うワンマン・ライブ・イベントより追っていきたいと思います。
 
フロントマン、コータ(Vocal)のカリスマ性すら感じるアピールを中心に、バンドマンそれぞれが絶妙なコンビネーションを見せ、唯一無二のライブを展開することで話題を集めている彼ら。このバンドの魅力は、ライブに集約されていると言っても過言ではありません。たとえ彼らを知らないリスナーでも、恐らく殆どの人はそのステージに圧倒されてしまうのではないでしょうか。この日は重大発表を含め、将来に向け躍進を誓う彼らが、次のステップに向かうきっかけとなるワンマン・ライブを開催。飛び抜けたテクニックや、奇抜なフックが溢れているわけでもないのに、そこまで人を引き付けてしまう彼らの魅力の秘密とは何か?この日のライブより探ってみたいと思います。
 
hana
 
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メンバーへショートインタビュー!
Q1:自分にとって快進のICHIGEKIとは?
Q2:今日このライブに対する意気込みを一言お願いします。
 
コータ(Vocal):
(Q1)ズバリ、戦いの場ですね。自分の人生を投影しているような。いろんなものに対しての戦いの場であり、自分が存在している意味を表している場所です。
(Q2)集大成を見せます。俺は高校生くらいからバンドを続けて、バンド人生はもう十何年か。今までの経験や、バンド人生で歩んできた道のすべてを今日投入して、「世の中に認めさせる」!それに尽きます!

 
久雄(Guitar):
(Q1)青春です!20代をともに歩んできた青春ですね。20歳から初めて今27歳、僕は自分の全てを捧げております(笑)青春の居場所そのものだと思っています。
(Q2)今日で「快進のICHIGEKIの、ギタリスト」という自分が終わっても悔いがない、そんなライブにすることを目標とします!

 
潤(Bass):
(Q1)家族でもあり、友達でもあり、ライバルでもあり…そんないろんなもの、そして自分にとって大きなものだと思っています。バンドを抜きにしても、今ここにいられるのは快進のICHIGEKIという存在の中で、いろんな人たちと関わりながら生きて、いろんなことを経験したりすることで成り立っているんです。そして将来に向けては、さっきのコータの言葉にもありましたが、自分たち自身と戦っていかなければならない、そういう覚悟を決めたところなんです。
(Q2)今日に限った話じゃないんですけど、背伸びせず、かといって縮こまらず。ありのまま、等身大で、いつも通りという感じですね。

 
佑一(Drums):
(Q1)自分の居場所みたいなところであり、自分を表現できる場所ですね。実際、今まで自分を表現できる場所って、ここしかないと思っていて、なおさらここはそれに相応しいのって思っています。
(Q2)やれるだけやる、というのみですね。もう別に頑張ろうっていう前に、自分達はもう頑張っているし、背伸びせずにできるだけのことをやろう、ってところです。

 

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スタートを待つ会場。突然、場内にBGMとしてGUNS N’ ROSESの「Welcome to the Jungle」が鳴り響きます。これこそ正しく、インタビューでコータが語った「戦いの場」そんな雰囲気を象徴しているかのようです。
そして、いよいよ快進のICHIGEKIが登場。彼らを象徴する、江戸前四重奏というキーワード、それを踏襲するかのように、片手団扇で登場するコータ。優雅に舞い、輝くようなメロディと、心の衝動を示すようなデスヴォイスを絶妙に交差させていく彼は、更にショウをエキサイティングにすべく、恒例の「3歩前へ」(観衆との距離を近づけるために、前列へ歩み寄ることを促す)コールでフロアを挑発します。フロアを鋭い視線で見回すコータの様は、まさに「戦い」と語った姿そのもの。その周りを取り巻く、ギターを歌わせる、というよりは、まるでギターを体の一部として自分が歌っているかのような久雄(Guitar)、ベースと格闘するような、激しいパフォーマンスを見せる(Bass)、そしてクールに快進のICHIGEKIの、土台を支えている佑一(Drums)という、強力なバックアップも見逃せません。
 
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「Thank you!俺らが快進のICHIGEKIだ!」
頭2曲を手堅く決めると、彼らの決まり文句であるこの言葉が絶妙に決まります。わかっていながら、このコールには恐らく誰もが背筋を正してしまうくらいのインパクトを受けることでしょう。彼の積極的な攻撃は更に続き、油断していると、すかさずそのポイントを凝視、そしてそのオーディエンスを指差して、不敵な笑いを浮かべながら、「こっちへ来い」とばかりに手招き。彼に睨まれたオーディエンスは、まるで蛇に睨まれたカエルの如く、なす術も無くライブのノリに引き込まれてしまいます。更に「手を上げろ!」「Crap your Hands!」「拳を上げろ!」トドメには、最前列のファンにマイクを差し出し、歌をせがむ。手抜かり無くフロアを攻め立てるコータの応酬に、出だしは様子を見ていたようなフロアの観衆も、拳が振り上げられる比率が高くなっていきます。コータの胸を打つようなインパクトのある歌に対し、メロウなメロディを奏でる久雄のギターも聴き応え十分、ソロ・タイムでは、その幅広いメロディ・センスを存分に披露し観衆を沸かせます。
 
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「今日はみんな来てくれてワシはうれしいぜよ、ありがとな!今迄走り続けて思うことは、人生、成功も失敗もあるってことだ。10やって9.9は失敗だな。だけど、人生はやってみないとわかんないぜ!やってみなきゃ、何の成功も勝ち取れねえぜ!やんなきゃ、何の夢も叶わねえし、何の奇跡も叶わねえ!そんな戦う力が、今の時代には必要だ!これからもみんなを引き連れて、戦場へ向かっていくぜ!」そして、重要なポイントでプレイされるナンバー、「1/1000の奇跡」「舞唄舞魂」へ。コータの語った一言一言が、曲に込められ、聴くものは激しい衝動に駆られながら、胸を締め付けられるようです。激しいリズムの中に潜む切ないメロディが、更に感情を強く揺り動かしていきます。拳を上げるオーディエンスは確実に増えているのが見えてきます。このサウンドの中に身を浸すと、そうせざるを得なくなっているのは、明らかでしょう。
 
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ステージが後半に差し掛かった時点で披露された、ソロタイムを設けられた佑一のドラムソロ。ここぞとばかりに超絶テクニックで観衆を翻弄した後は、シンバルで歓声を更にあおっていきます。また、ゲストとして、快進のICHIGEKIのメンバーと親交の深いバンドNSDPATSUSHIが登場、「快進のICHIGEKIと快進ソルジャー(観衆)達をぶっ潰しに来たぜ!」と、自らヒール役を買って出た彼と共に、更にエキサイティングな展開で、「華々しくパラリパッパ」をプレイ、トドメにK-POPの名曲「ミスター」を快進のICHIGEKIバージョンでプレイと、やりたい放題、彼らのポリシーとして見えるストレートな表現とはまた異なる、多彩な一面を覗かせていきます。
 
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続いて、重大発表として、今年夏にフルアルバムを発表することが決定したことを報告。そしてまた、コータがこの日のステージに込めた思いを切々と語っていきます。「こんなこと言いたかねえけど、明日に何が起こるかわからない、5分後に何があるか?また昨年みたいな震災が飛び込んできたら、いくら俺達でも太刀打ちできねえんだ。だけどよ、だからこそこの瞬間にできることはいっぱいあると思う。一人一人が100%以上の力で命を燃やせば、それをどんな悲しみや後悔が来ても、固い壁となり、それを纏っていける。俺達はそう信じてやってきています。だからこの一瞬に、‘明日など来ない’という気持ちで、今日のライブをやります。だからみんなも、今日この場に居合わせたことは偶然じゃない、必然だ!その燃えたぎる生命を、今日ステージにぶつけて欲しい!!」その言葉のひとつひとつを象徴するようなバラード、「赤色の生命」。彼らの楽曲には珍しいメジャー・キーのバラードですが、また澄み渡るような美しいメロディと、はっきりと耳に残る詞が、観衆の耳を捉えて離しません。観衆の様子もがらっと変わり、まるで何か物思いに浸るように、じっと聴き入っている模様。
 
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ステージは佳境に入ってきました。「お前ら、盛り上がる準備はできているか!?」という呼び掛けと共に、最近のステージでは定番のご褒美として小判をばら撒くパフォーマンスと共に「SHURABA音頭」へ。ぐっとフロアとステージの距離が縮まったことで、フロアの歓声もすごい。「拳握れ!全員でほら行くぞ!」「燃やせよ!命を燃やせ!もっと行ける!もっと行ける!Are you ready!?」「拳を下げるな!もうちょっとで一つになれるぜ!」常にフロアに対して声を掛け、その一体感を強めていくコータ。マイクを両手で握り締め、後ろにのけぞって声を振り絞る彼の姿はある種、快進のICHIGEKIを表すアイコンともいえるでしょう。
 
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観衆がサビをコーラスし、バンドをサポートし始めると、いよいよクライマックス。ラストはキラー・ナンバーの「音座芸夢」。イントロで見せる久雄の、リフの掛け合い。あくまでサポートに徹しているのベースが、この時だけは、まるで地に響く勢いで、オーディエンスの耳を直撃していきます。このナンバーからは、快進のICHIGEKIが持つ激しいメタルチックな部分と、ポップなメロディ等、彼らの持つ音楽的センスの、幅の広さを感じることができます。昨年のアルバム・リリースを機に、それまで持っていたエクストリームなサウンドを180度方向転換し、彼ら独自のサウンドを作り上げたことを、このナンバーは特に強く表しており、その意味でもこの楽曲のイメージが、今の快進のICHIGEKIを象徴していると言っても過言ではありません。会場中に鳴り響いたアンコールでも更なるパワー・ナンバーをお見舞いした挙げ句、ステージを去る前に告げた一言、「また会おうぜ!生きてろよ!!」その言葉がまた一歩ファンと彼らとの距離を近づけたようにも見えました。
 
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◆公式サイト
快進のICHIGEKI オフィシャルサイト
http://k-ichigeki.com/
NSDP オフィシャルサイト
http://nsdp.jp/nsdp/TOP.html

◆ライブ情報
3/22 (木) 新宿LOFT
3/26 (月) 愛知 名古屋ell.SIZE
4/01 (日) 滋賀 野洲 BARI-HARI
4/12 (木) 東京 LIVE labo yoyogi
4/21 (土) 愛知 豊橋 Club KNOT
4/22 (日) 京都 MOJO
4/29 (日) 滋賀 COCOZA HALL
5/13 (日) TOKYO BOOTLEG CIRCUIT’12@渋谷某所

◆セットリスト
2012/2/16 渋谷BOXX
M01.的なbaby
M02.英雄娘
M03.大人子守唄
M04.メガギガテラタリラ
M05.キラ・キララ
M06.法則~rule~
M07.ギター・ソロ~四季-喜怒哀楽-
M08.1/1000の奇跡
M09.舞唄舞魂
M10.江戸っ恋Honey B
M11.ビューティーラバーstyle
M12.ドラムソロ~インスト
M13.華々しくパラリパッパ
M14.ミスター
M15.赤色の生命
M16.SHURABA音頭
M17.バイバイダンサー
M18.絶体絶命の愛の結晶
M19.音座芸夢
(encole)
E01.拘束ルート

 
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快進のICHIGEKIという奇抜なバンド名をつけた理由は?」とたずねたところ、彼らはこう答えました。「目立つバンド名をつけようと思って、いくつかの案から選んだだけなんです(笑)でも、日本語の方がインパクトがあるし。名前からしてパンチがなければいけない、って思って。これってかなりパンチが効いてるって思いませんか!?」まるで何もない場所から生まれてきたような言葉。しかしその言葉、快進のICHIGEKIというバンド名は、今では文字通りバンドに「快進」を彼らにもたらし、彼ら自身を投影する言葉となっています。年間に途方もない数をこなしているライブ・ツアーでは、常にビッグネームとの対バンに臨み、いつもチャレンジャーとして自分達を切磋琢磨している彼ら。強い印象を残すステージとは裏腹に、ひたむきに音楽に取り組み、最高のパフォーマンスを見せようと努力を続けている彼らの姿は、お手軽な音楽が蔓延してしまった現代では非常に貴重で、かつ手間を掛けた良質な音楽を作り出す姿勢として、忘れてはいけないものを見せてくれているようにも思えます。レポートで伝えた観客の変貌は、まさにその彼らの努力が実を結びつつある結果として現れているといっても過言ではないでしょう。そんな彼らを、ロックを応援するBEEASTとしてはこれからも見守っていきたいと思います!