特集

TEXT:山崎光尚 PHOTO:株本和美

Photo国内のロックシーンの最先端を駆け抜け、輝き続けるフロンティアたちの横顔に迫るインタビュー特集「ROCK ATTENTION」。

通算13回目に登場するのは、シビれるサウンドが魅力のロックンロールバンド、MADBEAVERS!メンバーは KIYOSHI(Vocal&Guitar)、EBI(Bass)、JOE(Drums)の3名だ。

去る1月22日に渋谷「チェルシーホテル」にて行われたライブ直前の楽屋にて、インタビューをさせていただいた。不屈の魂を持つ3人のロックンロールトークをBEEAST誌上にて大公開!


 

— 現在2年ぶりとなるニューアルバムのレコーディング中とのことですが、今回のアルバムは、どういった方向性ですか?

 
PhotoKIYOSHI:6曲録る予定なのですが、バラエティーに飛んだ作品になると思います。6編の物語だとも言えるし、例えばコード進行にしてもメジャー、マイナーが入り混じった、いわゆるユニセックスコード感がより出ていて、陰と陽のコントラストがはっきりした曲たちだと思いますね。
 

— KIYOSHIさんは曲作りの時は、歌詞と曲はどちらを先に作るのですか?

 
KIYOSHI:基本、曲が先です。歌詞も曲を作っている時点で、漠然としたイメージがあったりもしますけど。このバンドは今、一番自分がやりたい理想的なことができているので、作っていて楽しいですねえ。極端に言えば、ロックンロールしかやらねーぞ!みたいな。とにかくシンプルなロックンロールがやりたいんですよ。例えば以前やっていたmachineHAKUEIPENICILLINとのユニット)では、とにかく頭に浮かんだ音を詰め込むことに重きを置いていたけど、このバンドでは音が足りないのが、むしろいい。見た目も含めて、とにかく理想的なバンドです。誰も気負ってないし、みんな自分のことしか考えずにやっているのも、いいよね(笑)。全員B型なんですよ、このバンド。
 
PhotoJOE:それでまとまっているのが、すごいよね(笑)。
 
EBI:僕の中では今までやってきた中で、一番速い曲をやるバンドなんですよ。だから、もうちょっと若いうちにやりたかった感もあるとも思えるバンドですね。
 

— KIYOSHIさんはバンドやユニットなど、様々な形態で活動されてきたわけですが、一緒に組む人を選び、選ばれるといった時に、自分の中での基準というのはありますか?

 
KIYOSHI:かっこいいこと!ただそれだけですね。あと、できれば痩せていてお腹が出ていないこと(笑)。まあ、メンバーが太るのは別にいいんですけど、自分のお腹が出て、ギターが腹の上でひっくり返るのだけは嫌なんですよね。
 
Photo

— なるほど(笑)。このバンドは今までやってこられた中で、一番ロックンロール色が強く感じられるように思います。

 
KIYOSHI:今までデジロック系とかメカニカルなことは色々やってきたけど、そっち方面はやりつくしたような気がしまして。そういう方向性に興味がなくなったというか、より少ない音でスリリングなことがやりたくなったので、ロックンロール方向に走ったんです。
 

— MADBEAVERSではヴォーカルも担当していますが、バンドの中で、ギタリストでいるのと、ギターヴォーカルでいるのとでは、やはり違いますか?

 
KIYOSHI:ええ。ギターヴォーカルってのは、体全体使うし、ライブ後に酒飲むのも億劫になる時もありますね(笑)。
 
JOE:飲んでるじゃんよ!
 
PhotoKIYOSHI:まあ、飲んでんだけどさ(笑)。ライブで叫んでいると、最後の方は首もつってくるし…でも、体は限界きていても、頭の中は冷静にしとかないととも思います。そのギリギリの感じが、なんか体削って生きてるなぁと感じます。逆に、ギタリストとしてステージに上がるより楽な部分もありますよ。hide with Spread Beaverの時は、ギター弾かずにグルグル回したりと、忙しかったですから。
 
JOE:それで俺が後方から「弾けーーー!」って、怒鳴ってたんだよな(笑)。
 
KIYOSHI:だって、あの時はPATAX JAPANのギタリスト)もいたしさ。
 

— 有名な両手離し奏法の逸話ですね!でも、さすがにこのバンドでは弾かないわけにはいかないですよね。JOEさんは3人の中で一番プロとしてのキャリアが長く、数々のバンドを渡り歩いてきたわけですが、バンドの中でドラマーとしての個性を出す秘訣といったものはありますか?

 
PhotoJOE:うーん、自分の個性というよりは、まずはバンドのイメージを大事にすることじゃないでしょうか。そういうヴィジョンをしっかり持てば、自然と自分らしさは出ると思いますよ。
 
KIYOSHI:俺、高校生の時にテレビで44MAGNUMを見ていて、ドラムのJOEって、俺と同い年かー!って、憧れていたんだぜ!
 
EBI:僕も44MAGNUMは故郷の広島で、テレビで見ていましたよ。そのころJOEさんがいたってのは知らなかったんですけど、すげーバンド!って思ってました。
 

— そもそも、MADBEAVERSの結成のいきさつはどういった経緯だったのですか?

 
KIYOSHI:もともと俺とJOE、前任のベースのCHIROLYNhide with Spread Beaverの一員として活動していて。98年にhideがいなくなってからも、SpreadBeaverとしてツアーに出なくてはならなかったんだど、すごく不安で。その前に何かやって自信をつけたかったから。それで彼らと3人で俺が個人的に作っていた曲をライブハウスで、肉弾戦でやるバンドとして、やってみたのが始まりですね。当時はKIYOSHI’S MADBEAVERSと名乗っていて。
Photoそれからしばらく活動してない時期があったんだけど、2005年に復活しました。でも、方向性の違いで2007年にCHIROLYNが抜けて、ベースのあてがなくて。そんな時にEBIちゃんのいたARBから石橋凌さんが脱退したと聞いて、ああ…EBIさんって、今何やっているんだろう?と思って、ダメもとで自分たちの音源を当時のマネージャーに頼んで、彼の所属事務所宛てに送ってみたんです。
 

— もともと知り合いというわけではなかったのですか?

 
KIYOSHI:まったく接点はなかったです。でも、昔からEBIちゃんのベースは好きで、当時俺が他でやっていたLUCY今井寿BUCK-TICK岡崎達成とのバンド)も活動しなくなっていたから、よりロックンロール指向が強くなっていてね。そういうのが弾けるベーシストがほしかったのです。
 

— EBIさんは最初に音源を聴いた時、どう思われましたか?

 
PhotoEBI:純粋にかっこいいと思ったんで、ぜひやりたいなと。自分のベーススタイルにも合っていると思ったし。最初に会ったのはスタジオだったよね?もうその時点で、この曲とこの曲やりましょうと、話はスムーズに進みましたよ。
 
KIYOSHI:この歳になってくると、とりあえず会って飲みながら「はじめまして。趣味は?」なんて聞くのもなんだしね(笑)。
 
JOE:お互いのキャリアは大体知っているわけだし、調べようと思えばいくらでも調べられるわけだしね。イベントの出演も決まっていたし、もう最初から音を合わせて、はいやりましょうと。
 
KIYOSHI:会うまではライブやって駄目なら駄目でとも思っていたんだけど、最初のライブがとてつもなく良くて!
 

— EBIさんが加入してから、バンドのサウンドは変わりましたか?

 
KIYOSHI:まあ、具体的に何が変わったというのは、言葉で説明するのは難しいかな。やっぱり人が違えば音も変わるのは、当然なわけで。同じリズム隊であるJOEは音数が減っていったかな。
 
JOE:自然とそうなっていったんだよね。相手がこう来るなら、こう行こうみたいな。まあ、それでも多い方だと思うけど。
 

— EBIさんはARBに加入した時にも思ったのですが、突然思いもよらないバンドに入って、ファンをびっくりさせるようなイメージがあるのですが。

 
EBI:う~ん、ユニコーンのイメージとは違うかもしれませんが、僕はもともとパンクバンドをやっていたので、自分の中では自然な流れだと思っています。
 

— 最後にBEEASTは「親子で楽しむロックマガジン」をテーマにしているのですが、読者に向けて一言メッセージをお願いします!

 
JOE:ロック好きな人たちの年齢層も自然と上がってきているのは当然の流れなので、親子で聴いている人たちも多くなってくるでしょうね。ぜひ俺らのライブにも親子で来てほしいです。魂削ってやっています!
 
EBI:ライブから足が遠のいている主婦のみなさんも、昔を思い出して熱くなろうじゃないか!
 
KIYOSHI:メチャクチャかっこいいロックンロールをやっているんで、ぜひ聴いてください!!


 
インタビュー後、「おっと、もうこんな時間か!」と、ライブの準備にとりかかった3人。そして、その30分後より繰り広げられる怒涛のロックンロール攻撃の模様を、ここからはお届けしよう!
 
Photo Photo

渋谷チェルシーホテル。退廃的な雰囲気の漂うこのライブハウスは、MADBEAVERSにとても似合った小屋だ。場内が暗転すると自作曲「B-fool」がSEとして流れ、3人のロックンローラーが登場!「キヨシー!」「ジョーさま~!」「エビくーん!」といった三者各々のキャラクターに合った歓声が飛び交う。
 
Photo Photo

SEの最後のフレーズだけ生の楽器で合わせるという演出から、オープニングナンバー「アウトロー」のスタート。重厚な8ビートに、KIYOSHIのニヒルな声がこだまする。パッと見て一聴しただけで、改めて感じさせるオーラに鳥肌が立つ!やはりとんでもない歴戦の強者がバンドを組んでいるのだなと感じずにはいられない。3曲目の代表曲「SUPERCAR BABY」では、KIYOSHIのヴォーカルとEBIのコーラスのコンビネーションの良さを聴かせ、間奏では「カモン、JOE!」と煽り、客席にピックを投げこむKIYOSHI。そのひとつひとつの動きが、実にかっこいい。
 
Photo Photo

新曲の「ANGELA」は、サビのメロディーが切なくもキャッチー。続いて久しぶりにプレイするという「WHEEL」、その名のとおり雷のようなサウンドを響かせる「KAMINARIYALAW」、疾走感の中にあるブレイクパートが心地よい「SCARY」を一気にキメる。「新曲、脂乗っていて、超いい感じ。超暗い曲やります!」と、新曲「DEVILS」へ。確かにヘヴィーなリフと妖艶な雰囲気が印象的なナンバーだ。さらに新曲「HISTERIA」でハイトーンヴォイスを響かせる。
 
Photo Photo

本編も後半戦。「みんな、俺を子どもでいさせてくれ~!かっちょいいロックンロールいっぱいやるからよー!」と、無邪気な永遠のロックンローラーであることを宣言。「今日、誕生日のやついるか~?誕生日のお前らに、『MORNINNG GLORY』!」と、さらに新曲を叩きつける。そして青春の光と影を歌った「YOUTH」~明日への希望が持ちたくなるイメージの「RISE」までをフルスピードで駆け抜けると、最後にKIYOSHIはジャンプしてビシっと決めた。
 
Photo Photo

アンコールでは、ベースの重低音が引っ張る「VENOM A GO GO」、ハイスピードで超攻撃的なロックンロール「BENNY」を披露。どちらも新曲だが、オーディエンスの反応は最高潮に!そして、「最後にみんなで星空を見ようぜ」とクールに伝えると、天井のミラーボールが回り、「STAR LIGHT」へ。ロマンチックな雰囲気の中、アンコールが終わっても、みんな帰ろうとしない。再び拍手喝采の中3人が現れると「また、チェルシーでやりますんでよろしく!」と、SEで使われた「B-fool」を、今度は生演奏で炸裂させる!登場時の曲と最後の曲が同じという、実におもしろい演出で、最高のロックンロールショーは、フィナーレを迎えた。
 
Photo Photo


 
3人の個性がスパークする爆音ロックンロール。本当に理屈ではなく、リーダーのKIYOSHIが今、思い描く理想的なロックが、MADBEAVERSなのだろう。インタビュー内でも言っていたとおり、お子さんのいるお父さん、お母さんたちも是非、親子でライブに足を運ぶことをお勧めしたい。ベテランミュージシャンであり、子どもの心を忘れないロックキッズでもある3人のハジケっぷりを、ハートと体で体感してほしい!!

photo
 
photo
 
photo

◆セットリスト

M01.アウトロー
M02.WORLD EXPLOSION
M03.SUPERCAR BABY
M04.ANGELA
M05.WHEEL
M06.KAMINARIYALAY
M07.SCARY
M08.DAVILS
M09.HISTERIA
M10.真夜中のワルツ
M11.HELLO
M12.MORNING GRORY
M13.YOUTH
M14.DAZZLIN
M15.CLOVER
M16.BLACK SUNSHINE
M17.RIZE
-encore-
M18.VENOM A GO GO
M19.BENNY
M20.STAR LIGHT
M21.B-fool
 

◆MADBEAVERS 公式サイト
http://madbeavers.com/

◆インフォメーション
「MADBEAVERS LIVE2012
宮脇聖誕祭 It’s a Joe time!」

・2012/04/28(土)【京都】MOJO
・2012/04/29(日)【名古屋】UP SET
・2012/05/06(日)【渋谷】スターラウンジ
 

「ウソの様なホンマの話 Kiyoshi 2days live MADBEAVERS vs SUPERNOVA」
・2012/06/02(土)【渋谷】スターラウンジ
(Kiyoshi SUPERNOVA)
・2012/06/03(日)【渋谷】スターラウンジ
(MADBEAVERS)