特集

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TEXT & PHOTO:桜坂秋太郎

000x国内のロックシーンの最先端を駆け抜け、輝き続けるフロンティアたちの横顔に迫るインタビュー特集「ROCK ATTENTION」。第36回に登場するのはPERSONZ(パーソンズ)から、JILL渡邉貢
 
日本のロック史をポップに塗り替えたPERSONZは、活動30周年を記念したメンバーセレクトのベストアルバムが、2014年9月17日に発売となったばかり。『ALL TIME BEST』と名付けられた2CD+DVDの作品だ。『ALL TIME BEST』はPERSONZリアルタイム世代から、PERSONZを知らない若い世代まで、どちらにもお薦めできる作品に仕上がっている。
 
“もう一度あの場所(武道館)へ!”というスローガンを掲げて、ロック最前線に舞い戻ってきたPERSONZのメンバーは、JILL(Vocal)・渡邉貢(Bass)・藤田勉(Drums)・本田毅(Guitar)のオリジナルメンバー4人。結成当時からのメンバーで結束を固め、あの場所へ向けて今、この瞬間を走り続けている。
 
『ALL TIME BEST』の2CDは、7色に輝く宝石のようなナンバー30タイトルが収められている。すべてのタイトルがメンバーチョイスだけあって、ブックレットではコメントを各ナンバーに寄せている。どのように生まれたのか、どのような想い出があるのか、エピソードのコメントは読むだけでも楽しい。
 
そしてDVDには、デビュー前によく出演していた新宿の老舗ライブハウスLOFTでの、ライブ(2014年7月5,6日)映像が収められている。セットリストは、デビュー前のナンバーを中心に披露している。まさにこの『ALL TIME BEST』は、PERSONZ30年の軌跡を、この作品だけで追う事ができるワンパッケージの内容となっているのだ。
 
そんな『ALL TIME BEST』を引っ提げて、『DREAMERS ONLY SPECIAL 2014-2015~ROAD TO BUDOKAN COME TOGETHER!』と題された全国ツアーがスタートしている。今回は、『ALL TIME BEST』のリリース元であるテイチクエンタテイメント社にて、ツアーの合間を縫ってのインタビューを実施することになった。
 
インタビューへ向かう前、ふと実家に寄ってPERSONZアイテムを手にしてみた。数々のCDとVHSビデオ、そしてカーステレオ用に自分編集したマイベストのカセットテープ。父が急逝した頃にリリースされた「True Love (涙にぬれて…)」のメロディが頭をリフレインし、想い出に涙が止まらなかった。あの頃、辛い時の心をPERSONZは癒してくれた。そして横浜アリーナや武道館コンサートでは、恋人と過ごした幸せな時間が、瞼の裏に刻まれていた。
 

【BEEAST】 PERSONZ JILL 『ALL TIME BEST』コメント

◆PERSONZ プロフィール

 

— 今日はよろしくお願いします。すでにツアーが始まっていますが、今回のツアー先20カ所は、過去に回ってきた土地が中心ですか?

 
JILL:オリジナルメンバーに戻って12年になるのですが、ここ数年行っている場所を選びました。でも小倉は初めてですね。
 

— 日本中を周っているイメージのあるPERSONZですが、まだ初めての土地もあるのですね(笑)。

 
JILL:はい。前回のツアーでは、初めて松江に行きました。松江は今回のツアーでも行くので2度目ですね。たぶん、まだ行ってない場所もあると思います(笑)。
 

— 今回のツアー『DREAMERS ONLY SPECIAL 2014-2015~ROAD TO BUDOKAN COME TOGETHER!』では、各地のオープニングアクトを募集する企画をされていますが、これは大変面白い企画だと思います。企画を思い立った経緯を教えてください。

 
渡邉貢:色々とあるのですが(笑)、通常は僕らがステージ側にいて、客席側にお客さんがいますが、少し違った事を考えました。ちょっと前に、女子高生のバンドとジョイントしたことがあったんです。その子たちが演奏してJILLさんが歌うような感じでした。PERSONZは、その子たちの親御さん世代なんですね。ですが、その子たちがPERSONZを、とても新鮮に受け止めてくれた。セッションではないけど、そういう音楽で交流できるような、そういう場があったらどうだろうと。何か新しい環境ができるかなと思って、今回やってみました。
 

— オープニングアクトは実際にもう各地で確定していて、その選ばれた人たちへ、メンバーがコメントされていますね。Youtubeでの応募ということで実現できているとは思いますが、普通に考えると、企画に応募しても合否だけ知らされるような感じだと思います。メンバーがなぜこの人たちを選んだかというのが、応募者に直接伝わる仕組みは凄く良いと思います。

 
渡邉貢:僕らがイメージしているのは、ただの前座バンドという感じではないんですね。もちろん対バンでも無いんですが(笑)。ニュアンスとしては、出させてあげる!と言うよりも、むしろ出てもらっているような感じです。交流の一環とでも言いますか。
 

— なるほど。PERSONZだからできる企画ですね(笑)。

 
JILL:Youtubeを見ていても、コピーバンド世代と言うか、PERSONZをカバーしている人たちって結構いるんですよね(笑)。中には、昔の学生時代にコピーバンドをやって、それで終わってしまった人もいるし、そのまま今も継続している人もいて。でも、そういうPERSONZカバーをしている人たちと、カップリングしたことは今まで一度もなかったんですね。
 

— 昔はミュージシャンとファンの間には線が引かれていて、恐れ多くて(笑)見てもらおうなんて考えもなかったと思います。動画投稿が身近になった今は、音楽の一つの楽しみ方として、自分たちのカバーをYoutubeにアップして、色々な人に見てもらうというのが確立されていますね。

 
JILL:私たちも、確かに誰かがカバーしているのを見る機会もあまりないので。今回のオープニングアクトの応募動画を見て、この曲ってこんな風にアレンジできるのね!とか、新しい発見がありました(笑)。PERSONZのイメージは女性ボーカルなんですが、男性が歌っているのに凄くハマっているとか。
 
渡邉貢:演奏が上手だから良い、というわけでは無いんですね。僕らが会ってみたい、聴いてみたいと思った人たちを選びました。
 

— 現実的な部分としては、それぞれの会場でオープニングアクトが違うというのは、かなり大変な気もします(笑)。

 
JILL:はい。ステージのセットチェンジが本当に大変で(笑)。ライブハウスだからセットは組み直し。一度バラして、また機材が組み上がっていくところが目の前で見られるので、お客さん的には、それも面白いようですが。
 

— 演奏スキル的な部分はどうですか?

 
JILL:ステージ慣れしている人たちもいれば、ほとんどステージの経験が無い人たちもいました。最初はちょっとドキドキしたんですが。本番に向けて必死に練習してもらいました。
 

— それにしても、一生に一度の貴重な場ですよね。

 
JILL:同じステージで、自分たちが立った後にPERSONZが出る。とても面白いですよね。今回は、それぞれの会場の地元のバンドだから、その人たちを応援しに来場してくれるお客さんもいますし。むしろPERSONZを知らない世代が、来てくれる事もあります。
 
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— 応募者にはかなり若い世代もいるようですが、交流的にどうですか?(笑)

 
渡邉貢:気分がいいですね(笑)。例えば、小倉の方の応募者には、女子高生の軽音部員と顧問の先生がいました。高校2年生の子たちが、自分のお母さんやお父さんの世代の歌をやる(笑)、とても面白いですね。その子たちには新しい歌なのですが、お父さんやお母さんにとってはよく知っている歌。親子間のコミュニケーションに繋がっているのが嬉しいです。
 
JILL:「実は俺も昔はギターやっていたんだぜ!」てなんてお父さんの話にも繋がるかもしれませんし(笑)。
 

— 会場には、親子で来場されるファンも多いですか?

 
JILL:そうですね。小さい子を連れてくるファンもいます。小学生くらいの子が、ちゃんと歌っているので、お母さんはとてもよい英才教育をされていると思います(笑)。
 

— どの時代のPERSONZも、メロディに統一感がありますから、新しい世代にも受け入れられる要素があるのだと思います。『ALL TIME BEST』を聴いてみれば、初期のナンバーがまったく色あせていない事に、誰もが驚くと思います。

 
渡邉貢:僕らには元々お手本にするようなバンドがいたわけじゃないので、結成してからデビューするまでの間に試行錯誤ありました。でもデビュー以降は、PERSONZの音楽性が首尾一貫しているというか、ブレていないと思います。PERSONZで作ろうとしている音楽は、昔も今も、ほとんど変わっていないんですね。
 

— 何も知らない若い世代が、本当に初めて聴いても、良い歌だと思ってもらえるメロディがPERSONZの持ち味ですよね。

 
渡邉貢:もちろんアレンジやニュアンスは時代の流れがあるかもしませんが、PERSONZのメロディは、ずっと変わらないところがあります。
 

— 結成当時から、メロディは最重要だったのですね。

 
JILL:私が元々バンドやろうと思って、メンバー集めている時から、ポップな物をやろうと考えていました。やはり80年代より前は、ロックがアウトロー的な感じだったり、人を寄せ付けないような感じだったり。そんなイメージが強かったと思います。でも、私はメロディが覚えやすくて、ポップなものがやりたいと思っていました。
 

— ロックのイメージは確かにそうでした。若い人たちの世界観も、当時と今では少し違っているかもしれません。

 
JILL:一時期カラオケが流行って、ギターを背負っている若者が町から消えていたけど、最近はまたどうしたの?って(笑)。バンドのアニメの影響で、またバンドが流行っていますし、時代は巡ると言うか。ウチの娘は今、高校生なんですが、学校の軽音でガールズバンドをやっています。娘がよく聴いているものも、バンドサウンドですが、よくよく聴いてみると口ずさめるんですね。
 

— 娘さんへのアドバイスなどはしているんですか?

 
JILL:娘はドラマーで、女の子同士でやっています。私も元々ガールズバンドをやっていたので、見る目が厳しいです(笑)。お父さん(渡邉貢)の方は、結構甘いみたいですけど。
 
渡邉貢:娘のバンドのベースの子が、練習に来られない時があって、僕がちょっと手伝いに行ったのですが。「そこのコードはEだよ」ってギターの子に言ったら、「Eってなんですか?」って(笑)。今はタブレットなんかで、ギターの押さえる場所が出てきて、その通り押さえているだけだったんですね。娘はドラマーだけど、娘の方が知っている事は多いかもしれません(笑)。
 

— それは物凄いエピソードですね!何と言いますか、英才教育と言いますか(笑)、恵まれていると言いますか。でも日本トップクラスのグルーブを生むロックベーシストが、娘さんのお手伝いに行くのは、実に素晴らしいと思います。ステージでの娘さんも、見たことはありますか?

 
JILL:はい。文化祭で見ました。ダメ出しされるから、見に来ないでとは言っていましたけど(笑)。まぁ、親の影響は大きいかもしれません。好きだったら職業にしてみればいいんじゃないかと思いますね。
 
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—— そういえば、この前は朝のテレビに出演されましたね。(2014年9月11日 生放送:日本テレビ系列「スッキリ」内にて、80年代から90年代前半にかけて活躍し、今なお語り継がれるアーティストを紹介する新設コーナー「THE LEGEND」の第1弾としてPERSONZが出演。「DEAR FRIENDS」をスタジオで生披露した)

 
JILL:出演オファーがあって、夏の(『ALL TIME BEST』のDVD収録をした)新宿ロフトのライブに、テレビスタッフも観に来てくれました。私はその前に骨折をしてしまったので、ちょうど復帰という場でもありました。もう一回リセットする意味でも、ぜひ出たいなと思いました。
 

— テレビ出演は久しぶりだったと思いますが、どんなことを考えましたか?

 
JILL:私が画面から何を伝えられるか、それを考えました。なので「THE LEGEND」のコーナーなのに、レジェンドじゃねー!と言ってしまったという(笑)。ライブが例えば2時間なら、2時間と言う中で、お客さんとフェイスtoフェイスなんですが、テレビはもう演奏と声のボルテージしかないし。でも3分間という意味では、今までで一番良かったと思います。昔は本当にテレビに出るのが嫌で、もう出ない!とか思っていましたので(笑)。
 

— 特にロックから離れてしまっていた人たちにとって、ありきたりの日常生活の中で、PERSONZの朝の生演奏は相当なインパクトだったと思います。「DEAR FRIENDS」はまさに国民ソングと言えるほどヒットしましたが、その頃から作曲のメインソングライターは、渡邉貢さんになって行った感じですか?

 
JILL:「DEAR FRIENDS」以降は、確かにそうかもしれません。最初は4人が同じ比率で作っていたんです。1つの曲を誰かが持ってきたら、みんなで色々考えて、アレンジして完成させていました。デビュー前の古いナンバーなどは、「これって本田君の(作品)だよね?」「え?違うよ!」みたいな会話があります(笑)。
 
渡邉貢:本当にデビュー前は色々なことを実験しました。どうやるのがPERSONZらしいのか、それがわかってきてからは、曲作りもスマートにできるようになりました。
 
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— やはりPERSONZのサウンドは、その音作りが特徴的です。

 
渡邉貢:初期の頃って、スタジオ練習に入っても、スタジオ後に長い反省会をしていました。反省会では、音作りやアレンジなどの話をするわけです。次はこういうところを変えてみようとかの話を延々と(笑)。そして次にまたスタジオ入ったら、長い反省会をする。そんな事を繰り返していた時期がありました。音楽の話しかしていない頃ですね。
 
JILL:本田君って、普通に普通のギターも弾けるんだけど(笑)、当時としては珍しい空間系を多用した音作りをしていました。コードをジャンジャンって弾くタイプじゃなくて。よく本田君のマネをする人は、初期の本田君のスタイルをコピーしようとしていますね。そんな本田君がいて、AUTO-MODでブイブイ野太い感じのベースを弾いていた渡邉君がいて。藤田君はプログレが好きだし、メンバー全員が癖のある感じでした(笑)。
 

— PERSONZのナンバーは聴きやすくてポップなんですが、やっている演奏というか、内容は難易度が高いですよね。

 
JILL:そうですね。意外と難しいと思います。なのでコピーされる曲も、わりと偏っているんです(笑)。高度な曲はなかなかできない。曲作りについては、時代的な物、例えばパンクやニューウェーブが流行った頃をメンバー全員が通っていたり、例えばThe Policeみたいなって言えば、共通のイメージを持っていたり。直接そういう部分が曲に表れるわけじゃないけど、大きなところだと思います。歳が10歳以上離れてしまうと、無理なんじゃないかなって。
 

— 個性的なメンバーが集まりながら、一つのバンドとして共鳴して、良い化学反応が起きたわけですね。

 
JILL:私も歌うだけの紅一点の飾り物じゃなく、歌詞もすべて書いていたし、バンドは3ピースなんだけど、コードでガチガチなタイプじゃないし。むしろ3ピースでオーケストレーションを追求して、本田君は当時エコーチェンバーみたいなでっかい機材を駆使していました。機材は変わっていますが、今もやっている事はあまり変わらないように思います(笑)。
 

— 本田毅さんのギターは、サウンドだけでなくフレーズも唯一無二のスタイルだと思います。

 
JILL:平歌(楽曲のサビ以外の歌の部分)のところ、何やっているんだろう(弾いているんだろう)って見たら、テロ~ンって(笑)。
 
渡邉貢:本田さんの譜面だけ違うんですよ(笑)。僕らが見ている譜面は、普通はコード進行が書いてあるんですが、本田さんのは“本田楽譜”で、コードチェンジもよくわからないような(笑)。たまにはコードを弾いてもいいんじゃないかなって思いますね(笑)。
 
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— 今となっては、一時期居なかったという表現が正しいのかもしれませんが、本田毅さんが脱退されてギター不在での活動時期があり、また別のメンバーでの活動時期もありました。本田毅さんが復帰してオリジナルメンバーに戻って、どういう感じですか?

 
JILL:オリジナルメンバーに戻ってから、もう12年経っていますが、もう一度あの場所(武道館)へ行こうよって、結束力が強まったのはこの数年ですね。
 

— バンドを組んだ頃のパッションが戻ってきたような?

 
JILL:振り返ると、今がバンドとしては一番充実しています(笑)。デビュー前の頃なんて、それこそメンバー二人(本田毅藤田勉)は学生でしたし。私と渡邉君しかプロ意識が無かったんです(笑)。二人は、PERSONZをやっていればプロになれるかもって、まぁ結果なったんですけど(笑)、そういう風に思っていたのかなって。当時は大学を出て就職ってパターンも、頭にあったと思いますね。
 

— 情報も少ない当時、バンドでデビューするという夢は、簡単な話ではなかったです。

 
JILL:バンドをやって生活していけるなんて、なかなか思えなかった時代ですよね。私たちはラッキーな事にプロデビューできたけど。バンドもまだまだ未知数で、勢いだけがあって、楽しかったですね。
 

— 30年の時間って、世代的にどうしても親子くらいの流れがあります。80年代にPERSONZにハマっていた若者の子供が、今の若者となってPERSONZにハマる。そして親になったかつての若者が、再びPERSONZにハマる。そういう連鎖が素晴らしいと思います。

 
JILL:PERSONZの場合は、歌詞も独特だとは思うんです。紅一点のバンドの多くは、必ず男女の歌でした。若い頃であれば、彼がどうしたこうしたって内容でも良いと思うけど。やはり大人になってからも、色あせないのは、男女関係ない歌詞を書いてきたからだと思います。
 

— 意識的に、そういう歌詞を書いてきたのですか?

 
JILL:私は自分が弱くて、凹みやすいので、励ます内容が多いかもしれません。何となく女性のイメージを持っていた「7 COLORS(Over The Rainbow)」も、今回のオープニングアクト募集で男子が歌っているのを聴いても、全然おかしくなかったんです。「DEAR FRIENDS」も男性同士の話としても、実際にあるでしょうし。
 

— 親子で一緒に聴いて、親子で参加できるイベントなども増えてくると良いですね。イベントといえば、先日(2014年8月16日)代々木競技場第一体育館で開催された『a-nation island powered by inゼリー THE FIRE LEGEND 2014』は、どうでした?

 
JILL:大きなステージのイベントは久々でした。でもその時が骨折しちゃった時なんです(笑)。私たちは、イベントにはあまり出ないので、またお誘いがあれば出たいと思っています。娘の学校に行った時も、a-nationで見ました!声をかけられました(笑)。
 

— イベントにあまり出なかった理由があれば、教えてください。

 
JILL:今は本当にどこでも演奏できるんですが(笑)、昔は、特に野外のライブがダメでした。何ていうか環境がちゃんとしていて音が大きくないと、自分の声の調整ができなかったんです。今は4人でアコースティックライブもできます(笑)。
 
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— イヤーモニターは使わないんですか?

 
JILL:使ってないです。空間的な感じが合うので、昔から普通のフロアモニターです。布袋君のゲストで出た大きい会場でも使いませんでした。布袋寅泰のデビュー30周年を記念して、2011年5月11日に代々木第一体育館にて開催された30th ANNIVERSARY ANTHOLOGY II “威風堂々”にてJILLはコーラスで参加)
 

— バンドの機材で、変化した物は少ないですか?

 
JILL:やはり個々の楽器は、それなりに良い物になっていると思います。でも、PERSONZでやろうとしている音楽は、昔も今も同じなので、言うほど変わってないかな。藤田君は昔、ロートタムがダーッと並んでいたんですが、一時期それを止めていました。でも2年前くらいから、またロートタムがダーッとなって、理由を聞いたら「今、すごく安いんです!」みたいな(笑)。
 

— いつの時代もPERSONZだと一発でわかる音楽性が魅力ですが、以前のアルバムも再発されると聞きました。

 
JILL:私たちは、そもそも廃盤になると思っていなかったので(笑)。今はCDショップも減って、ネット探してもPERSONZの作品が無かったり、オークションで高値になっていたり。そういうのを見ていたので、今回の再発はうれしいです。HMVさんに行くと、ずらっとPERSONZが並んでいると思います。ツアーの物販では大人買いで、全部のアルバムを買って帰る人もいます(笑)。今回の『ALL TIME BEST』も、一時期ソールドアウトになっていたんですが、ツアーのMCで話したら、多くの方が会場で買って帰ってくれました。
 

— 『ALL TIME BEST』は本当に買って損のないアイテムだと思います。

 
JILL:これ一つでPERSONZがわかりますね。初期の頃やシングルしか知らない人も、本田君がいない時期の作品を聴いてもらえるし、全部が入っているベスト盤ってのは、夢でしたね。
 

— メンバーでセレクトするのは初めてですか?

 
JILL:初めてですね。今までもベスト盤は、移籍などの関係で、レーベル単位で出ていましたけど。この30年をまとめる作業を、自分たちで手掛けたので。コメントも付いているし。
 

— 新宿LOFTのライブDVDは、デビュー前のナンバーで収録すると決めていたんですか?

 
渡邉貢:デビュー前を含めて、今までのすべてを『ALL TIME BEST』に収録しようと思いました。CDはデビューしてからの内容で、DVDはその前です。30年やってきて、これから先(のバンド活動)はどのくらいできるかわかりません。僕らは50代なので、今では時間に限りがあることも理解しています。デビューした頃は、このバンドが何年続くかなんて考えもしませんでしたし(笑)、20代の頃に50代のことなんて全然想像もできないですよね。
 

— まだこれからの30年というのも可能性を感じます(笑)。

 
渡邉貢:80代でバンドができるのかわからないけど(笑)本当にそこは未知数ですね。一つ言えるのは、今のバンドのコンディションが凄く良いので、もしかするとPERSONZは今がピークなのか(笑)。それとも、まだ先にあるのか、それが面白いところですね。
 
JILL:30年やってきたけど、まだやるべき事、チャレンジする事はあると思っています。3.11の震災の時に、被災地へ演奏に行きましたが、会場に来てくれた人は、皆が不安な顔をしていました。だけど、ライブ帰りは豊かな気持ちになって、明るくなって帰ってくれたのが本当にうれしかったです。それで、音楽はそれでいいんだなって思いました。本来は音楽って娯楽だから、生きるためには無くてもいいわけですが、やはり音楽の力って大きいなと。
 

— 今日はありがとうございました。最後に。まだツアーの後半戦が残っていますが……

 
渡邉貢:ここは、太文字の赤文字で書いておいてください(笑)。
 

— ファンへコメントをお願いします(笑)

 
渡邉貢:今回のツアーは、この『ALL TIME BEST』の中から選曲してやっています。バンドもJILLさんもコンディションが凄く良いです!毎回緊張感を持って、良い演奏をしています。どのタイミングでもかまわないので、お近くに行った際には、ぜひ会場へ足を運んでください!

222インタビューを終えた帰り道、30年前を思い返しながら駅へと向かう。1984年、PERSONZが産声をあげ、その活動をスタートさせた。時代はまだ昭和の年号(昭和59年)だ。日本がバブル経済に踊る、まさに前夜的な年。当然、平成の時代が来ることなど多くの人が考えもしなかった。
 
テレビの話題は、グリコ・森永事件とロサンゼルスオリンピック。そして、世界に日本のゲームカルチャーが広まるきっかけとなった、任天堂のファミリーコンピュータが、爆発的な勢いで売れ始めた頃だ。音楽好きなら、SONYの名機ウォークマンのシリーズに、ディスクマンという名で、CDウォークマンがラインナップされた年と言えば、イメージできるかもしれない。
 
時代はまさにバブル絶頂期へ向かう途中。1985年からバブル経済の成長は急加速し始め、オールナイターズやおニャン子クラブといったブランドが定着し、女子大生や女子高生が次々と商品に化けた。男性がオシャレに目覚め、DCブランドの高額なスーツが飛ぶように売れた。
 
1986年にピークを迎えたバブル経済の威力は物凄く、不動産関係や広告代理店、アパレル業界その他カタカナ職業が大ブームとなり、夜の街に札束が舞った。ボディコンシャスなタイトな服で、扇子を片手にディスコで踊る絵は、平成生まれの人でも見た事があるはずだ。まさに日本中が浮かれていた時代だった。
 
そんなバブル真っ最中の1987年に、PERSONZはメジャーデビューの夢をつかむ。それまでライヴハウス新宿LOFTを中心に、地道な活動してきた若きアーティストは、才能と努力によって数々のヒットソングを生み出し、一気にスターダムを駆け上る事になる。バブルで浮かれていた日本を悪く言う人もいるが、私の中では、バブルは悪い時代ではない。なぜなら夢や希望が、2014年の今よりも、シンプルだったと思うからだ。ロックバンドも、アマチュアとプロフェッショナルの線引きが、今よりハッキリしていた。情報が溢れた社会になる前の文化と言えるかもしれない。
 
ビッグネームとなったPERSONZだが、30年の間、すべてが順調に進んだわけでもない。PERSONZサウンドを語る上でキーとなっていたギタリスト本田毅の脱退は、多くのファンが戸惑った。私も一ファンとして、当時すごくショックだった事を覚えている。時は流れ、本田毅が復帰してから12年が経ったが、その間にメジャーレーベルとの契約がない時期もあった。しかしPERSONZは歩みを、決して止めない。考えられるアイデアを具現化し、作品を生んで活動を続けた。そしてついにバンドの軌跡、集大成とも言える『ALL TIME BEST』をリリースするに至った。
 
この作品をリリースすることで、今までの30年にケジメをつけ、これからの夢に向かって4人が動き始めたのだと思う。夢や希望の大切さは、慌ただしい日々を過ごしていると忘れてしまう事がある。「F♯OREVER YOUNG」に、“覚めない夢 追い求めて 今の微笑み 一番の宝物”という歌詞があるが、まさにファンの笑顔を胸に抱き、覚めない夢を追い求めるPERSONZ。『ALL TIME BEST』を聴いて、これからのレジェンドを、メンバーとファンで共に作っていこう!ツアー『DREAMERS ONLY SPECIAL 2014-2015~ROAD TO BUDOKAN COME TOGETHER!』の後半、まだ複数の会場が残っている。インタビュー中の太文字の赤文字コメントにある通り、お近くの会場があれば、ぜひライブに足を運んでほしい。そして来年は、一緒に、“もう一度あの場所(武道館)”へ!

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◆リリース情報
PERSONZ 『ALL TIME BEST』
TECI-1420 ¥4,980+税 2CD+DVD
■【CD / Disc 1】
M01.Midnight Teenage Shuffle
M02.REMEMBER(Eyes Of Children)
M03.BE HAPPY
M04.CAN’T STOP THE LOVE
M05.7 COLORS (Over The Rainbow)
M06.Believe(English)
M07.DEAR FRIENDS
M08.Fallin’ Angel~嘆きの天使~
M09.Dreamers
M10.Special Sparklin’ Hearts
M11.MAYBE CRAZEE-I Love You-
M12.PRECIOUS LOVE
M13.TRUE LOVE(涙にぬれて…)
M14.Future Star
M15. sayonaraは言わない
■【CD / Disc 2】
M01.VENUSの憂鬱
M02.GENERATOR
M03.Open Sesame!
M04.River
M05.見たこともない空の下で
M06.BELIEVER
M07.SINGIN’
M08.Fireball
M09.Mirrorball
M10.AMPLIFIER
M11.BRAVEHEART
M12.月の輝く夜に
M13. CAT WALK
M14. TO BE FREE
M15. F♯OREVER YOUNG
■【DVD】
M01. IT’S TOO LATE
M02. TV AGE
M03. HOLLYWOOD MOVIE STAR
M04. TIME TRAVELLER
M05. POWER PASSION
M06. MYSTERY HEARTS
M07. PARADE
M08. NEVER SURRENDER
M09. UNDER THE MOONLIGHT
M10. SMILIN ANGEL
M11. BREAK THE NIGHT
M12. FREEDOM WORLD
M13. MODERN BOOGIE
M14. DEAR FRIENDS
 
DVD/2014年7月5日・6日@新宿LOFT「歴史はここから始まった…30YEARS 3HISTORY 3STAGE at 新宿LOFT」をダイジェストで収録。
◆PERSONZ 公式サイト
http://www.personz.net/
 
◆PERSONZ レーベルサイト
http://www.teichiku.co.jp/artist/personz/
 

 
 
◆PERSONZ TOUR
DREAMERS ONLY SPECIAL 2014-2015
[ROAD TO BUDOKAN COME TOGETHER!] 

2014年10月19日(日)【高 崎】clubFLEEZ
2014年10月24日(金)【長 野】ライブハウスJ
2014年10月25日(土)【新 潟】GOLDEN PIG
2014年10月31日(金)【岡 山】LIVE IMAGE
2014年11月02日(日)【小 倉】LIVE SPOT WOW!
2014年11月03日(月)【福 岡】DRUM Be-1
2014年11月14日(金)【広 島】ナミキジャンクション
2014年11月15日(土)【高 知】X-pt.
2014年11月22日(土)【梅 田】CLUB QUATTRO
2014年11月23日(日)【名古屋】CLUB QUATTRO
2014年11月30日(日)【渋 谷】CLUB QUATTRO
 
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