特集

TEXT:桂伸也 PHOTO:ヨコマキミヨ、桂伸也

国内のロックシーンの最先端を駆け抜け、輝き続けるフロンティアたちの横顔に迫るインタビュー特集「ROCK ATTENTION」。通算33回目はテクニカルギタリストとして今や押しも押されもせぬ存在となった名手、Kelly SIMONZ(ケリー・サイモン)の登場だ。
 
Yngwie J.Malmsteenから派生した、いわゆるネオクラシカル派のギタリスト、その一人として大きな知名度を誇っているのがKelly SIMONZだ。彼は2009年に刊行されたギター教則本『ギター・マガジン 超絶ギタリスト養成ギプス』で、一躍世のギターキッズたちより大きな脚光を浴びるようになった。以降は教則本の内容を実演した動画サイトでの実演映像や、全国を回る精力的なセミナー活動でさらに注目度を集めた。だが、その教則本発売までの活躍についてはほとんど知られておらず、非常にミステリアスな存在として知られていることも彼の特徴だ。
 
そして2014年3月26日、いよいよメジャーレーベルであるキングレコードより、Kelly SIMONZ’s BLIND FAITH名義によるメジャー第一弾アルバム『BLIND FAITH』がリリースされることとなった。ミュージシャンとしては遅咲きともいえる今回のリリースだが、このリリースに賭けた彼の思いとは、いったいどのようなものだろうか?
 
今回は彼にインタビューを行い、ミュージシャンKelly SIMONZの実態と、今回のリリースに掲げられた「復活の狼煙(のろし)を上げる」というテーマの真意に迫った。また今回は彼の教え子であり、ニューアルバムのレコーディングにも参加しているドラマーのYosukeにも合わせてインタビューを行い、別の視点から見た彼の姿を探ってみた。 


 

 

Kelly SIMONZ(ケリー・サイモン)
 

14歳のとき、兄の影響でギターを始め、1年後にはバンド活動を開始。高校生になって精力的な活動を行う中、LOUDNESSのオープニングアクトオーディションに合格し、ギター歴わずか3年で憧れのLOUDNESSと同じステージに立った。
 
高校卒業後、単身渡米しハリウッドのMI(ミュージシャンズインスティテュート)に入学、卒業後ローカルバンドを結成し、ロスを中心に活動。その後東海岸に活動拠点を移し、24歳までアメリカで音楽活動を行っていた。その後帰国し、自身の求める音楽を追求するべく音楽に没頭。そして1998年、自主制作アルバム『Sign Of The Times』をリリース。同年ハードロックの世界で話題になり、1年間で約6000枚を売り上げ、翌年のシンコーミュージック誌『BURRN!!』にて、自主制作版ながらも年間アルバムチャートで3位を記録した。
 
1999年、数社との交渉の末により決定したRoad Runner JAPAN(アメリカの大手HEAVY ROCK系レーベルの日本支社。現在はWARNER MUSIC JAPANと合併。)よりソロ名義にてアルバム『Silent Scream』にてメジャーデビュー。『BURRN!!』誌のアルバムチャートでGUNS’N ROSES、Rage Against The Machineを押さえ堂々1位に輝いたあと、9ヶ月間トップ50にランクインし続けた。2002年、Kelly SIMONZ’s BLIND FAITH名義のセカンドアルバム、『The Rule Of Right』をリリース、同時にフィンランドのLION MUSICと複数枚のアルバム契約を交わし、プロモーションの一環として元DEEP PURPLEGlenn Hughes、元RAINBOWJoe Lynn Turnerが結成したHTP(Hughes Turner Project)のオープニングアクトとして約1ヶ月強に渡り11カ国19公演に及ぶツアーを敢行、地元での高い評価を受けた。
 
2003年よりESP/MIジャパン特別講師として就任、地元大阪をベースに熱心な指導を行い、地元のみならず毎年行われる各校でのクリニック活動などで高い評価を得た。GITマスターズ地区予選などで全国各地へ赴き、クリニックを実施。就任初年度から大村孝佳、Taka Minaminoなどを輩出しその後も毎年凄腕プレイヤーを続々と育て上げたことでインストラクターとしての信頼も高く評価されることになった。そして2008年、長らく音楽学校講師として活動を休止させていたが、ソロ活動と平行しScarlet Gardenのメンバーとしてメロディックデス・スラッシュメタルのジャンルで新たに活動を開始させる。ミニEP『Decade of Decadance』を発表し、音楽学校の仕事の合間を縫って関東でのライブを精力的に行った。
 
2009年、8月にリットーミュージックよりギタームック本『ギター・マガジン 超絶ギタリスト養成ギプス』を発行、今までの教則本にはなかった「超絶」な譜例と附録CDと思えないサウンドクオリティで高い評価を受け、半年たらずで増刷決定。この教則本発売により今まで全くかかわることのなかった媒体への露出が増え一気に認知度を上げることになった。そして2014年、ついに長い沈黙を破り、Kelly SIMONZ’s BLIND FAITHとしてのニューアルバム『BLIND FAITH』が完成。キングレコードより3月26日にリリースされた。

 
hana
 

1.「『僕はやっぱりダメではない』と改めて思った。」

 

—Kellyさんとギターという組み合わせは外すことはできないというくらいに強いイメージがありますが、今回のインタビューではもっとKelly SIMONZという人間自体にクローズアップし、敢えて「ギター以外の話」を中心に話を進めてみたいと思います。

 
Kelly SIMONZ(以下、Kelly):あっ、いいですねそれは(笑)。実は、僕は「プロデューサー」なんです。もともとプロデュース能力に長けていると自分では思って一人でやってきたし。ギターについては、言ってしまえば「得意な楽器」の一つという位置づけ、「表現するのに自信がある楽器」というくらいのものなんです、自分の中では。
 

—そうだったのですか。では、Kellyさん自身に自分のステータスとしてギタリストだという意識は、正直なところないということでしょうか?

 
Kelly:ないです、みんなが思っているほどは。僕は歌も歌うし。極端な話、歌を歌うときに伴奏が必要じゃないですか?ギターはそのときに必要なもの、その一部、みたいなもの。作曲方法もそうだけど、僕は基本的には歌のメロディを考えて伴奏をつけるタイプです。ハードロックの曲だけはギターのリフで作る場合もあるけど、今回リリースするアルバムの中でバラードの曲とか…
 

—4曲目の「Requiem」ですね。あの曲は普段ハードロックをプレイされているKellyさんのイメージから考えると意外な気もしましたが、表現としてとてもナチュラルな印象を受けました。

 
Kelly:そうでしょう?だからよほどの曲ではない限り、曲作りにおいてギターのリフ先行ということはないです。だから曲作りのスタイルはいわゆる「ハードロックに影響を受けた人」とは違う。なので、バラエティに富んだ曲作りができるという自負はあります。メロディだけでなく、ビートで考えるとか、そのフィールをまずは構築して、ちょっとはねた16ビートとか、リズムとメロディ、ハーモニーという感じとか。
 

—作曲ではメロディが先なのですね。多くの人がKellyさんに対するイメージとしては、やっぱり「ギターを弾きまくる人」というイメージがあるかと思うのですが、そこからすると本当に意外です。逆にファンの人や、ずっとKellyさんを見てきた人からすれば、それはごく自然なことなのかもしれませんが…

 
Kelly:そうですね。歌詞が同時に浮かぶ曲以外は、メロディ先行がほとんど。まあそういう意味で「知られざる自分」をやっと知ってもらえるチャンスがきたという感じです。僕のことを知らない人は本当に「クラシカルなギターの人」と思っている人もいますし、「アコースティックで歌う人」ということを、一方では歌うこと自体を知らない人すらまだいるくらいですから。
 

—なるほど。今回のリリースにあるテーマの一つとして『復活の狼煙を上げる』というキーワードがありますが、その点を探る意味で改めてKellyさんご自身の経歴的な部分をうかがいたいと思うのですが。

 
Kelly:アーティストとしての経歴という意味でいえば、僕は1998年にアルバムを出したんです。『Sign Of The Times』という。そのアルバムが自主制作にもかかわらず驚くほど売れました。ライブを1回もやっていないにもかかわらず。でもそれが、良くも悪くも世の人の琴線に触れまして(笑)
 

—なにがそのような方向に進めてしまったのでしょうかね?

 
Kelly:そのとき、僕は(世間の人から見ると)誰かわからないし、当時よく言われたのは「メチャクチャ有名なギタリストが名前を変えて出した」とか、憶測が憶測を呼んでいましたし、僕はその頃大阪にいて「大阪にいるアメリカ人」とか言われて(笑)
 

—それはどのようなイメージからそんな憶測が出てきたのでしょうか?

 
Kelly:そうですね、今思い返してみると、みんな僕の存在が怖いと思っていたのでは、と(笑)。自分ではそれほど思ってはいませんでしたが。みんなが言っていたのは「すごく洋楽を実現できている日本人だ」ということでした。多くのいわゆるジャパニーズメタルというレベルを逸脱して、「外国人か?」と思わせるほどのクオリティを出せる日本人という。それはみんながやりたかったことだと思うんです。僕らが憧れた人って、みんなそうだったじゃないですか?僕はYngwie J.Malmsteenに憧れたし、僕より上の人はMichael Shenkerだった。でもMichael Shenkerのような音楽が作れないというジレンマは多くの先輩の中にあって、その中で僕の音を聴いたときに、なにか引っかかるものがあったのかもしれません。だから僕がたとえば外国人だったらよかったんでしょう。日本人だったから不評を巻き起こしたんじゃないか、と。
 

—複雑な結果ですね。単純に考えると「すごいアルバムを作った新人!」と、高い評価を受けてもいいはずなのに…

 
Kelly:まあでも僕は過去は振り返らないし、自分に自信はありますから(笑)。なのでそんなことは、今はもうどうでもいい。ただ、いまだに僕のことを知らない人は多いです。本当に今までの人生でメディアに載ったのは数えるほどしかない。だからすごく苦労はしました。その一方で面白いと思ったのは、僕のことをインターネットのユーザーはすごく有名な人だと思っているようなんです、僕以上に。でも、一般的にたとえばロック雑誌やメタル雑誌しか読まない人にとっては、その差がすごくある。だから今までギター雑誌の白黒ページにちょっとだけ載っていたようなのが、今回のリリースで色が付いたページにもう少し大きく載るようになる、それだけで大分認識は変わると思います。で、また曲を聴いてびっくりしてもらうと(笑)
 

—なるほど。「復活」というコンセプトは、アルバム全体を通してみてもその意味が深く感じられますね。ボーナストラックであるラスト曲の「Now Your Turn」は、タイトルからして最も意味深な雰囲気もありますしね。

 
Kelly:意味深です。この曲が入っているアルバムをリリースした当時からこれは意味深でした。これはもういろいろ苦労して、結局自分でインディーズから出したアルバムだったんです。『The Rule Of Right』という。そのアルバムがなんとフィンランドのレコード会社から出せることが決定したときに、Joe Lynn TurnerGlenn Hughesとともにヨーロッパを周ることができたんです。
 

—それはビッグニュースでしたね!

 
Kelly:ただ、そのときのリリースが今回のキングレコードのようなメジャーレーベルからのリリースであれば、スゴイ話題になったと思うけど、なんの話題にもならなかったんです。だから、「そういうものなんだ」とわかってしまったんです。名を売るというのは、音楽を一生懸命やるより、プロモーションというものをどれだけ一生懸命やるかという部分にかかわってくるので、「音楽の世界というのはシビアだな」と思ったわけです。そこで自分の中で、音楽をやろうという闘志の火が、1回消えました。そのときにギターの講師を始めました、2003年から。
 

—それは厳しい決断でしたね。でもその転機となったのは、『超絶養成ギプス』(ギター教則本)ですよね。

 
Kelly:そうですね。集大成です。若者を育ててきた中でいよいよ自分にも声がかかり、「Kellyさんにしか弾けないやつを作ってください!」と言われまして。「どんなレベルのものですかね?」とたずねたら、「Kellyさんが難しいと思うやつ」と(笑)。ではやってみよう!ということであの本になっちゃったわけです。2009年にその本を出してからは、「その本の人」というレッテルを貼られちゃって(笑)。YouTubeなんかで教則本の超絶フレーズをメッチャスゴく弾く人、みたいな。
 

—「超絶ギターを弾くのが私のすべてです」、みたいに見られたのではないでしょうか。

 
Kelly:たしかに。でもあのとき僕は、なにでもいいから目立たなければいけないと思っていたんです。そこで僕の最大武器はギターのスピードでしたから。それを武器にしたおかげで本が出ました。でもたぶん本だけじゃ話題にならないだろうと、僕はあの本を実演で見せていました。さらに「疑わしく思われている人たち」のために、DVD編も出したんです。もうここで完全に「速弾きの人」(笑)。「速く弾いても意味がない」と、若者たちにバッシングを受けてしまうことは想像していましたが。でも僕は、心の琴線に触れるものがあるのであれば、なんでもアリだと思っているので。だからきっとなにかが心に伝わればな、と考えていました。
 

—その意味で、興味を引くことには成功しましたね。

 
Kelly:そうですね、あの本が話題になったおかげで。いわゆるメジャーに本の方が先に出ました。初めてCDを出したときは、Road Runner JAPANからでしたが、今回のリリースのようなレーベルからのバックアップは皆無、広告などもほとんどなかった形態の契約でしたので、やはり苦戦しましたし。カリスマ性にはなりましたけど。「あの人はなんでメディアに出ないんだろう?」って。本音は「いやいや、出たいですよ!」という状況でしたが(笑)、そこが良くも悪くも神秘化されましたね。
 

—ある意味、衝撃的なデビューでしたね。

 
Kelly:でも正直やっぱり厳しかったです。日本がここまで厳しいものかと思っていました。当時はやっぱりまだインターネットの環境も今とは違って不十分で、ダイアルアップでやっていたような時代でしたから、これによるアピールは期待できなかったし。だからそんな中でファンになるという人は相当のマニアでした。今はスマートフォンでYouTubeを見る時代。それほどお手軽になって知られた僕が、「超絶の人」なんです。
 
そこからは完全に僕は「教則本の人」ですから。で、カバーアルバムでアコースティックギターのアルバムも出していますし、ベスト盤も出しましたけど、2002年以降、僕はオリジナルアルバムを出していないんです。12年も出していなかったのによく生き残ったなあって(笑)。たとえばギターマガジンのちょっとした曲を、年に1曲だけ出すとか、そんな恰好でここまで生き延びましたから。
 

—しかし今回、「復活」という手ごたえは、リリースの前から感じられていたのでしょうか?

 
Kelly:そうですね。今、全国セミナーの活動をしているんですが、その中で結構来られた方から言われるのが「すいません、僕はKellyさんのことを全然知りませんでした」と。そして「でもすごいですね。これからずっと応援しますよ!」って言ってくれるんです。そんな方が僕の先輩世代の方に多い。だからそんな面でも大きく手ごたえを感じました。
 

—今でもセミナーではそんな感じなのでしょうか?頻繁にセミナー活動を行われているので、ある程度の知名度があると思っていましたが…

 
Kelly:今でもそうです。だから今やっと同世代の人たちがパソコンをやり始めて、ようやく僕を見つけられるんです(笑)。「誰だこりゃ!こんなやつ!」って(笑)。そして最初は外国人と思いながら日本人だとわかるとまず今は親近感をおぼえて(笑)、「日本でこんなスゴイ人がいるのか!?」って。次にたずねられるのは「今までいったいなにをされていたんですか?」と(笑)。「いやいや、やってましたよ!!」って答えるんですが(笑)
 

—なるほど。「人に知られる」という部分の難しいところですね。

 
Kelly:さっきの話に戻りますけど、知られるということで一番大きな力を持つのは、まずやっぱりテレビ。実はいまだにテレビに出たもん勝ちなんです。次にwebや紙などのメディア。それに載らなかったら、おそらく誰も知らない、ということになるでしょう。そこに僕が到達できない、というところがもう10年続きましたし。本当に厳しい時代でした。インターネットの世界は、僕の時代はいわゆるマニアしか存在しない世界。パソコン通信からの世代ですから。まあすごいです、みんな評論家だったし(笑)。ほめる人とバッシングする人が同じくらいいたから、大分厳しかったです。
 

—自分の評価がどちらかわからなくなりますね。

 
Kelly:わからなかったです。だから僕は自分のことをミュージシャン、アーティストとして「ダメだ」と思っていたんです。「ダメ」だから有名になれないんだということで、プレイすることをあきらめてギターの講師になったんです。でもギターを教えていると、その評価が異常に高かったんですよ。MIで僕はなにをしたというわけでもないのに「スペシャルアドバイザー」だし(笑)、いろんな人とライブをすると、なんだかインパクトがあるし。東京に出てきて今年で3年目になりますが、いろんな人がいろんなアーティストを見ている中で今さらながら「スゴイ」と言ってくれる人がいるんです。ということは、『僕はやっぱりダメではない』と改めて思ったし、そこは前面に押さなければいけないと思いました。
 
また、結局僕は、ソロアーティストだと思うんですよ。バンドに入れないキャラクター。なかなかギターがうるさいというか(笑)。バンドをやっていても、プロデュース的に見ればその中の空気っていうのもわかるわけで、自分には「バンドっていうのが無理だ」という認識もしている。だから結局「Kelly SIMONZ’s」という最終的になにかついてしまわないと(笑)、バランスが崩れるなということは、実は自分でも意識しています。
 

2.「僕の後ろで弾くメンバーは、少なくとも僕よりカッコよくないとまずい。」

 

—今回のリリースに関しては、「Kelly SIMONZ’s BLIND FAITH」というバンド形式のリリースになりましたが、これに参加されたKellyさん以外の、二人の若いミュージシャン、YosukeさんとKazさんについてうかがいたいと思います。合わせてここからは、Yosukeさんにもお話をいただければと思います。

 
Kelly:まあ彼らはまだ若手なので、現時点がまだ最低レベルというか、スタート地点ですから。今回はその「最低」の中で最高の音を作ってくれたと思っています。
 

—そういう意味では、かける期待はもっと大きなものだと?

 
Kelly:当然!まだまだいけると思っています。今までYosukeを5年以上見てきたし、ずっと思っていました。最初、彼はまずメタルじゃなかったんですけど。全然ハードロックでもなかったし。メロコアでしたから(笑)。メッチャ速い、疾走感のあるね。彼にとって洋楽というとSoulやFunk系ですし。
 

—それは知りませんでした。Yosukeさん、そうなんですか?

 
Yosuke:そう、メロコア。Hi-STANDARDとか、MONGOL800とかいう世代。まあ、速いというか、「ドコタカドコタカッ!」っていう複雑な感じではなくよりドドッ!という勢いと疾走感、もうそれこそツーバスでもなかったし。ハードロックなんかの洋楽もちゃんとコピーしたり聴いたりっていうことはなかったです。で、ハードロックというジャンルに関しては、Kellyさんを通じて、最初の『Silent Scream』なんかを聴いてから影響を受けたという感じです。
 

—Yosukeさんが最初にKellyさんとコンタクトしたのは、いつくらいのことでしょうか?

 
Yosuke:2005年に名古屋の専門学校に入学しましたが、そのころからKellyさんを知ってはいました。そこで2年間ほどKellyさんに教わったあとに僕も講師になって、そこから5年。だから約7年来のお付き合いです。そこからKellyさんの曲以外のこともやっていたんですが、その中でKellyさんの曲ということで、まず「Opus #1」とかをツーバスでやらせてもらったんです。まずはKellyさんの曲自体に興味を持たされたという。
 
Kelly:まあもともとメジャーデビューアルバムが、かなり幅広い音楽性であったので、それは彼の思っていたイメージからは大分違ったみたいなんです。僕のことはもっとハードでメタルだと。そこに大きなインパクトを受けたらしいんです。で、彼がやりたいと思ったのは『Silent Scream』というアルバムの曲だし、そこからだんだんクラシカルな曲の中でツーバスをさせるようになって。あの入り口はそういう意味で、大きな間口だったんじゃないかなと思うんです。
 
Yosuke:普通とは全く逆ですよね。「あの曲がやりたいから」というきっかけではなく。
 

—そうでしたか。もともとは全く違う音楽をやられていたわけですが、実際そこまで長くお付き合いされると、かなりKellyさんより感化というか影響を受けられたという認識はありますか?

 
Yosuke:そうですね。いわゆるハードロックとか、僕らの世代ではグランジ、ビジュアル系とかもそうですが、僕はもともとそういうものは興味はなかったんです。そんな中でKellyさん自身がハードロック以外のジャンルも、曲作りにおいても「なるほど」と思わせるところまで精通されていたんです。僕が好きだった洋楽の音楽なんかにもかなり詳しくて。そういうところでいろいろ勉強させていただいたし。
 

—なるほど。では今回のリリースはYosukeさんにとっても大きな節目になったのではないでしょうか?

 
Yosuke:たしかに。「僕なりのハードロック」という意味では、もうかなりのものができたと思っています。だから本当に初めてのアルバムですけど、今の自分におけるベストのプレイを残せました。これから「もっとハードロック」というよりは、「もっと卓越したプレイヤー」という意味で、今後につながっていければ。ハードロックも僕の一つのジャンルとしてやりつつ、これからもいろんなバンドでやっていきたいと思っています。
 

—音楽的な影響以外での影響という面ではどうでしょう?なにかKellyさんの生き様的な部分で感じられたことはなかったのでしょうか?たとえばKellyさんに出会わなかったら、今Yosukeさんはどうなっていたかと思いますか?

 
Yosuke:どうですかね?(笑)まあ名古屋なんかを拠点に活躍して、東京に出てくるときには自分のバンドで、という恰好にはなっていたかと思いますけど、ハードロックやメタルというジャンルには目を向けなかったと思います。
 

—そういう意味では、「あまり広いところまで目を向けよう」などということはなかったと?

 
Yosuke:実は自分の中の意識も明確ではなく、よくYouTubeなどの動画を見ていただいた方に「本当にハードロックですね」と言われることが多いけど、自分の中にはまだそのかけらもないくらいの認識なんです、実は。だからそういう意味では全然、もしKellyさんとやっていなかったら、全然普通のバンドをやっていたと思います。
 
Kelly:彼の中でハードロックの最高レベルは、Mr.Bigですから(笑)。まあ、生き様というか、僕の人生の悪いところを学んじゃっているけど(笑)、それはまねしない方がいいので、なんとか名前を世に出してあげて「あとは自分で頑張らなきゃダメだよ!」という話をいつもしています(笑)。結局先程話した通り、僕はどうしてもソロになっちゃうし、僕がバンドに入りたいと思うようなものは、たとえば「Paul Rodgersがいるバンドに入りたい!」とか、上の人しか見ていないので。自分が同じレベルの人とかではもうやらないと思います。自分にも夢はありますが、日本では難しいかな、と思っていますし。矢沢永吉のオーディションが、ちょうどこのレコーディングと被ってしまいましたし(笑)。
 

—スゴいエピソードですね(笑)

 
Kelly:このレコーディングがなかったら、1回応募してみたろうかいな?とか思っていたんですけど、「お前、弾きすぎ」とか言われて終わりだろうな。などと思いつつ(笑)。でも、そういうなにかインパクトがないと、自分のキャラ的にも現実は厳しいと思っているんです。そうしたら自分のやることは、「後進を育てる」ということに尽きるかな、と。とにかく自分のやってきたことを擦り込んで(笑)、立派なミュージシャンを育てて、あとは自分の好きなことをしようかな、という流れの中でできた一つの作品です、これは。
 

—単に「教える」ということではなく、「育てる」という部分に大きく注力されているということですね。KellyさんがYosukeさんを選んだ理由にはなにがあったのでしょうか?

 
Kelly:トータルバランスですね。彼の同級生で、SlipKnoTが好きでツーバスがメチャ速い子がいたんです。彼の方が僕のことをよく知っていたし、当然BLIND FAITHのことも知っていて「Kellyさん、僕はご一緒したいです!」とアピールしていましたが、僕はそのとき彼は僕の音楽はやれないと思ったんです。僕の音楽はドが付くようなメタルではありませんでしたし。その点、Yosukeはもともとフュージョンライクなポップセンスも持っていましたし。
 

—なるほど。トータルという面でYosukeさんに可能性を見出したということですね。

 
Kelly:ただ、明らかに線は細いなと思ったので、「これは年月をかけて育てるしかないな」とは思いました。
 

—性格的なところも、気になる部分としてはあったのでしょうか?

 
Kelly:もちろん。やっぱり相性っていうものはあるじゃないですか。人間なんてしょせん、相性というところもあるでしょう?だからそこのところはどれだけうまくても、相性が悪ければ無理だと思ったので。そういう意味では、彼は真面目というか、素直なところがあります。だからそんなところから彼を引っ張ってきました。それと先程も言った通り、僕の後ろで弾くメンバーは、少なくとも僕よりカッコよくないとまずいと思いますから。僕はアメリカでもそう思って、自分のリズム隊は極力「Good Looking!」なやつらを選んできました(笑)。僕はギターを弾いて歌を歌う立場にありましたから、どんなことをしても目立つ立場にあるわけですし。
 

—そういった点も昔から一貫していたのでしょうか?

 
Kelly:そうですね。特にL.A.で活躍していたあの時代は、「skinny(服のシルエットが皮膚のように体にぴったりフィットしているさま)でGood Lookingだったらなんでもええ!」という時代でしたから(笑)。だからベーシストってカッコよかったでしょ?Nikkey Sixxを筆頭に。でも、それはロックには重要なこと。僕は技術だけをウリにするというのは違うと思うし。(お客さんは)全部を見るじゃないですか?僕以外を見て、で、僕を見て、そのとき僕だけが調子に乗っていたら「なんだよ、あいつ!?」ってなりますよ!(笑)自分だけを「カッコよく見せたい」とかいう風に見られるのも、プロデューサーの視点からすると嫌だから。
 

—なるほど、それは意外に盲点ではありますね。

 
Kelly:「あれ?なんか後ろの人カッコよくない?」っていうのは、すごく重要。でも、反してアーティストとしてそれはジレンマがあるのもわかるんです。だって、当然目立ちたくてやっているわけだから。「なんだよ、ほかのところばっかり見やがって!」なんて(笑)、思っている人もいると思います。メンバーを見ればだいたいわかる(笑)。そういう意味で僕は、バランス重視。僕より見劣りしない、というのは当然難しい、「濃さ」がありますから(笑)。だから「濃い」のを選んで(笑)。最後に合流したベーシストのKazも、ワイルドなタイプだし。
 
Yosuke:Kazさんは僕と全く逆で、ずっとKellyさんとやりたいという夢を持っていたんです。
 
Kelly:その夢を見ながら彼はハコバンの営業を続け、好きなことを練習しながら去年僕と合流しました。彼が合流してからはガンガンいきましたから。彼はやっぱり「運を持っている」ことを感じましたし、そういうタイミングって大事だと思います。また、彼はYosukeと歳が二つ差なんですが、兄弟関係みたいなものがあるんです。僕とだとどうしても師弟関係みたいな恰好しかできないですから。そういう意味でもこの二人で頑張ってもらいたい。リズム隊が若いというのは、非常に重要、なぜなら僕の音楽は「激務」だから(笑)
 
Yosuke:まあ、もともとのこのKelly SIMONZ’s BLIND FAITHのメンバーは、デビュー当初の初代メンバーの教え子なんです、Kazさんもそうですけど。なので、その先生たちがメタルだけでなく、いろんなジャンルをこなしていたので、それが当然だと思っていたんです。だから別に「ドが付くメタルの人じゃないと…」という意識は、全然ありませんでした。
 

—なるほど。でも、こうして改めて考えると不思議ですよね。もう見るからに長髪でハードロックな方々が、「メタルという意識はない」というのも(笑)

 
Kelly:いやいや、Yosukeは私に出会う前はもっと短髪で、まさか僕に会うまで自分がこんな風になるとは思わなかったという(笑)。まあ大丈夫、今年のこのアルバム発売後のクリスマス・アルバムでは、僕らは急に短髪になって、一般的な層を狙っていこうかな、と(笑)
 
Yosuke:結局、写真なんかのイメージでは、「オラオラ系」というか(笑)、そんなイメージの仮面をかぶっている、ということです(笑)
 
Kelly:まあ、そこもまたプロフェッショナルな意図。T.P.O.というものがありますから。今回のアー写なんかのイメージではBLIND FAITHというバンド自体が最初に出てきたときのイメージとしてクラシカルだったこともありますし。今さら僕も普段あんなヒラヒラした衣装なんか着ませんけど(笑)、「これはもう、最後に行っておこう!」という記念の意味を込めて(笑)
 
YosukeにもKazにも、ちょっと格調高いフォーマルな感じにしてみました。そういったビジュアルのイメージというのも大事だと思いますし、そこは彼らが僕より1回りも下なので、それを生かしてもらおう、と。僕だけならわりとキャラが濃いので目立ちますけど(笑)、この人たちはもっと若さをウリにしてもらって。ライブなんかではもちろん、タンクトップなんかで十分いいですけど。
 
Yosuke:また、話は変わりますがKellyさんには30、40代の方と10代のファンというところが一番多くて、ちょうど20代のファンってなかなかいないんです。ちょうど僕やKazさんはその20代、この世代がいないわけですから。
 
Kelly:だから、彼らが引っ張っていかないといけないんです。まあYosukeKazは、僕といつまでもずっとやっていく、という縛りではないので、たとえば同世代のギタリストを入れたバンドというのもアリだと思うし、それを期待しているというのもある。とりあえず僕が、ある程度の人気と認知度があるという段階まで引っ張っていくので、さらに成長してほしいと思っています。
 

3.「なんで日本ではこの曲が好かれるんだろう?」と思ったときに、「日本語だからじゃないか?」って言われちゃったんですよ(笑)

 

—今回リリースされるアルバムについてうかがいたいのですが、Kellyさんの作られる楽曲として、日本語の詞というのが非常に印象的ですね。

 
Kelly:はい、メッチャ頑張って作りました(笑)。日本語の歌詞はかなり難しい。僕の作った作品の中では、まだ5曲くらいしかないんです、人生の中で。
 

—以前、BEEASTのコラムで、「日本語の曲は、歌謡曲くらいの認識しかない」という考えを書かれていた記憶がありますが…

 
Kelly:そうです!だからついに歌謡曲を入れてみたんです(笑)。なぜならば、これこそがメジャーだから。やっぱり僕の中には、ハードロックというポリシーやイデオロギーというものはあるけど、僕が思う「流行の音楽」というものは、基本的にポップなセンスがないとダメだと思うんです。日本語を取り入れたというのは、その一環として。
 
どれだけデスメタルな感じでもポップなセンスがあればヒットするものもあると思うし。ヒットするという中において、今回「Toki-No-Kakera」という曲を入れたんですが、あれは実はアニメソングのイメージを考えたんです、「僕が作るとアニメソングはこんな感じかな?」って。それが意外にもほとんどの人があの曲を良い!って言ってくれるんですよ。僕を今まで知らなかった人たちも。
 

—結構グイグイと押してくる、激しい感じの楽曲ですよね。

 
Kelly:そうですね。で、今回はボーカルがYAMA-Bくんという、キレイな声のボーカリストをゲストに迎えましたし。だからよりアニメソングのタイトル曲となったイメージなんです。あれはミックス面でもボーカルはかなりレベルを上げているし、ハードロックとはちょっと違う風にうまくアレンジできたと思う。そこは今回、大手のレーベルとやるということで、僕なりにプロ意識という部分を考えた結果です。たとえばインディーズで自分の好きなことをやるものを出すというだけだったら、やらなかったことかもしれません。
 

—そこにこだわった理由とは、どのようなものだったのでしょうか?

 
Kelly:ここで「多くの人に(僕のことを)知ってもらうチャンスだからです。であれば、やっぱりオーソドックスな正統派ハードロックからそこまで広げる必要があると思ったんです。
 

—そして日本語という試みも行われたということですね。

 
Kelly:そう、日本ですしね。「なんで日本ではこの曲が好かれるんだろう?」と思ったときに、「日本語だからじゃないか?」って言われちゃったんです(笑)。あまりにも当たり前のことを言われちゃって。そうしたら「今回は日本語で、かなり違うものを入れてみよう」ということで、今回は僕がバラードを歌ってみました、日本語で。合わせてYAMA-Bくんにもあの「激しい愛の歌」と「悲しい愛の歌」みたいなものを歌ってもらって。
 

—なるほど。YAMA-Bさんに歌ってもらった曲というのは、「こういうものを歌ってほしい」というイメージはあったのでしょうか?

 
Kelly:いや、あれはもともと僕が歌っていた曲なので、「それをイメージしつつ、自分なりに歌ってください」という風にして、彼なりの歌い方をしてもらいました。ちょっとだけ直したところもあるけど、ほぼイメージ通りの仕上がり。僕が思っていたイメージだけ伝えれば、かなりほぼ間違いなく返ってきて、修正はほとんどありませんでした。
 
まあ彼は僕のことも前から知っていたので、僕の意図していることをかなり汲んでくれました。英語の曲2曲で作詞もお願いしたんですけど、たぶん僕が昔作った曲をいろいろイメージしただろうというのが、それを思わせる単語を多く入れているので、聴いた瞬間に嬉しくなりました。「さすが!」と思いましたね。
 

—1曲目の「N.W.O」の詞では、冒頭からいきなり「Silent Scream」(メジャーデビューアルバムのタイトル)というキーワードを入れるなど、かなり配慮されていますよね。

 
Kelly:もう本当に全部意図してくれたんだということがわかったんです。だから文句は特になにもなし。やはり僕にない声だし、初めて「自分のアルバムじゃない」という感じで聴けました(笑)。やっぱり声って圧倒的にアルバムの印象を決めるじゃないですか?僕の声は、いわゆるちょっと軽めのポップなセンスがありますので、メタルにはならないんです。「ギャー」とかシャウトして歌うのが、自分は嫌なので(笑)、仮に歌えたとしても「ちょっと自分とは違うなあ」という思いがありましたから。だからYAMA-Bくんの声が入った曲を聴くと、自分の曲がメタルに聴こえたんです。ハイトーンのシャウトとかでね。もうすごく嬉しくなりました。
 
それと、自分のプロデューサーとしてのこだわりとして、初めてリズム隊を生にしたんです。生にした意図というのは、結局自分の(今までの作品では)全部打ち込みで、プラス自分のキーボードとギターだから、(タイミングが)常にジャスト。ものすごくきれいな音楽ができる。でも、逆にバンドというのはそうではない「合っていない」ところの良さがあるんです。それを今回はYosukeKazのリズム隊に期待したんです。
 

—なるほど。今回のこのアルバムは、ボーナストラック以外は全部新曲なのでしょうか?

 
Yosuke:「Toki-No-Kakera」は、実は2005年くらいに、この曲だけを出したんです。
 
Kelly:そう、「Toki-No-Kakera」が古いくらいで、あとはキングレコードの担当さんと昨年末にリリースの話を決めたときに、僕はだいたいの曲のタイトルを考えて、さっと曲を書いたんです。実は僕は、曲を溜めるのが苦手。昔の曲はあまりやりたくなくなるんです。「Now Your Turn」も本当は全然やりたくなかったんですけど(笑)
 
これは10年前の楽曲ですけど、Yosukeが自分のバンドとしてずっと叩いてきた曲で、自分のドラムを入れたいと言ってきた曲なんです。昔からファンの間でも人気のある曲でしたし。それを僕が歌いたくない曲だったので、YAMA-Bくんに歌ってもらって(笑)、非常にパワフルな曲になり、ファンは大喜びですよ、これ!(笑)大阪で1回彼をゲストに呼んでライブをやったんですけど、そのときにものすごく評価が上がりました。
 
実はこの曲自体はRoad Runner JAPANと契約する前に、別のレコード会社で、この曲を歌う人というのが実は決まっていたんです。FAIR WARNINGのボーカリストであるTommy Heart。彼が歌うということだったのでこんな曲を作ったんですが、僕はこんな曲を歌えなかったんです。だからレギュラーチューニングだったのを一音ダウンしてから自分で歌っていたという経緯があります。
 

4.「徹頭徹尾「ネオクラシカル!」でもいいかもしれませんが、それではセールスが出ないと思っていましたから。」

 

—非常に興味深いお話ですね。全体的な構成としてもなにか特別な趣向が加えられているのでしょうか?

 
Kelly:最初の意図としては1曲目から6曲目までがいわゆる「A面」、そのあとが「B面」という、アナログ感覚でテープ録音ができるような感覚に仕上げてあるんです。
 

—そうだったのですか?なるほど。音源を聴かせていただいた感じではたしかにうまく前後にわかれていますね。

 
Kelly:前半はたとえばシングルカットもできるようなごった煮のイメージで作り、後半はうまく流れを汲めるような構成にしています。今回は本当にそれこそVAN HALENの78年から、Yngwie J.Malmsteenの86年までの、本当にハードロックの技術がものすごく上がった時代の雰囲気を入れています。
 
そこからWHITESNAKEとか、いわゆるポップな感じで売れた人がいましたが、技術革新の時代といいますか…あそこまでの音を収録したくて。たとえば2曲目の「Burning In My Soul」なんかはもう完全にVAN HALENみたいなサウンドにして…
 

—「クラシカルなフレーズのイメージが強いKellyさんにしては、イメージが違うな?」と感じました。80年代っぽいというか。

 
Kelly:そう。そういうのを狙いにしているんです。ギターはストラトとアンプはマーシャルなんだけど、その時代の音を狙って。あとはYosukeのドラムなんかは、たとえばものすごくきれいに分離させるのではなく、ちゃんと「真ん中でドシッ!と鳴って、タムの周りだけがこんな感じで流れているような…」みたいな、アナログ感を出したかったんです。
 

—荒々しいですよね。

 
Kelly:荒々しいのを逆に残したかったんです。だからスネアのミュートも外して、全体に響いているくらいの感じを出させたんです。今の録音の仕方という意味では、横の広がりよりこっちの広がりを重視したんです。いわゆるアナログテープのメタルテープで録ったみたいな感じで(笑)
 

—メタルテープ…懐かしいですね(笑)。その言葉、すっかり忘れていました(笑)

 
Kelly:でしょ?アナログのテープの中では、メタルテープだけが、唯一ハイが入っていたものでしたよね?だからドンシャリな、輪郭のはっきりした音が出る。かつ、メタルテープの音は今のデジタルの音よりミドルレンジの音は絶対に膨らんでいますし。それを強くこだわって、マスタリングのエンジニアの方に要望したんです。そこを重視して今回は制作しました。録り直しもあまりしていないです。少々ラフでもOKにしたテイクが多いので、逆に揺れていますけど。
 

—その揺れのために、勢いはすごくあると感じました。

 
Kelly:そうですか!?狙い通りですね(笑)。特にYosukeのツーバスがクリックから外れてしまうほどの勢いが(笑)。勢いって、まさしく僕が欲しかったところなんです。たとえば僕はYngwie J.Malmsteenに強い思い入れがある人ですが、僕が好きな彼というのは、「アグレッシブな人」「ワイルドな人」というイメージにおいてのことなんです。単に「速弾きが好き」っていうだけだったら、Yngwieより正確で速い人はいっぱい出てきていますよね?でもそっちには僕は向かなかった。
 
アメリカのハリウッドに行っても、フュージョンにも向かわなかったし、やっぱりYngwieが好きだと思えたのは、あのワイルドでラフなところなんです。やるときはとっても理路整然とするときもあるし、(ノリについては)前ノリも後ろノリも、ジャストもコントロールしている。僕は速い曲だと前ノリ、遅い曲だと後ろにいくという感じ。そんな人間にしかできない再現というものは打ち込みではできなかったので、今回は特にそこにこだわってみたんです。特に6曲目のインストのバラード「The End Of The Beginning」なんかは、ゲストも合わせて完全に一発録り。それに合わせて僕もイメージし、一緒に演奏している感じで一発録りをしました。
 

—なるほど。ではなにかギターのフレーズをより際立たせるような音作りよりも、やはりトータルにこだわって作られているということですね。

 
Kelly:そうですね。よくおわかりいただけている人には、「Kellyさんの魅力は、別に速弾きだけではない」と言っていただける方もいます。人それぞれいろんなことを思っている人がいるわけで。だから今回の作品はアコースティックもたくさん入れているし。自分の幅広さを見てもらうというよりは、聴く人それぞれが一番いいと思うものを感じてもらえればと思っているし。
 

—逆にたとえばなにかギターで新たな奏法でチャレンジするとかいった試みというのは、むしろないということでしょうか?

 
Kelly:まさしく。僕がもともとやっていること自体が、普通の人には難しいことが多いので。まあ、たとえばThe Ventures的に「指一本でただ弾いているように見せて、ちゃんとスケールを弾く」奏法みたいなものがあって、それは磨きをかけてきたので、1曲目のリフなんかからそれをバンバン使いますけど、反してタッピングですごいことをするようなところはないし。
 
もう普通のリスナーは、音で聴くはずなので、やっぱりテクニック以上に音質にこだわったということですね。しかも音質がクリアー、という。73年のオールドマーシャルと、自分で自作したブースター1個で基本は全部録りました。ゲインも結構押さえています。
 

—なるほど。でも、聴いていると結構ガリガリッ!と荒々しい印象がありますね。

 
Kelly:そうですね。ピッキングのタッチを出すためにゲインは下げているのですが、僕はいわゆるピッキングの強弱は深さでコントロールするので、そのゴリゴリという部分は、そういう意味でかなりアグレッシブになっているところじゃないかなと思います。それとベースとドラムとの音の混ざり具合でギターの音自体も変わってきますので。
 

—テクニック的なレベルの高さも感じますが、トータルという部分に非常に理詰めの配慮がなされているところが印象的ですね。

 
Kelly:そうですね。やっぱりレコード会社の意図も組まないといけないし。徹頭徹尾「ネオクラシカル!」でもいいかもしれませんが、それではセールスが出ないと思っていましたから。だから2曲目のあの明るい感じの曲、あの曲だけが好きな人も、このアルバムは買う可能性はあるし。実はあの曲、最初は10曲目くらいにおこうかと考えていたんです。でも試聴機で聴いてみて思ったのですが、アルバムってやはり最初の3曲までが勝負、それ以降ってアルバム自体に興味を持ってもらわないとかなかなか聴いてもらえないという構図があるから、その中に入れないといけない、と考えました。
 

—特にCD主体となってからの音楽事情からすると、そのポイントは非常にシビアに考える必要があるポイントですね。

 
Kelly:そう。なかなか10曲目まで聴く人はいないという現実はありますし。だから1曲目を聴いてもらって「お約束通りだな」と思ってもらい、2曲目を聴いてもらって「なんだこりゃ?」となってもらえるはず。で、3曲目はまさかの日本語ですから。やっぱり狙いはうまくできたと思いますし、ご担当の方にもとても喜んでいただき、「あとは頑張って売るだけですね!」と、言っていただいています。
 

5.「自分たちが楽しいというのはダメなんだと思います。」

 

—まさしく大作ができた、という感じですね。今後の動きとしては、どのような流れになるのでしょうか?

 
Kelly:できるだけ売ってもらうだけでなく、僕らも活発に活動していきます、露出を。でも正直本当は僕は裏方が楽しいですけど。音を作る、曲を作るまでが楽しいので。ただ、一番の課題は、露出の一つであるPV(プロモーションビデオ)とか…
 

—今回、PVは作られる予定なのでしょうか?

 
Kelly:そうですね、お願いしようと思っているんですが、実はYosukeが面白いことに、意外にも「工場とかで(撮影を)やるのがいや!」とか言うんです(笑)。廃墟でやるのとか。
 
Yosuke:僕の気持ち、わかりますかね?あんなところドラムセットがもともとあるわけないようなところにわざわざ持ち込んでやるような(笑)
 
Kelly:白黒っぽい感じで(笑)。僕もちょっとそういう感じは違うな?って思うので、お金がかからなくても面白いものを作りたい。やっぱり映像って、面白くなければいけないだろうし。そこはご担当さんと相談していきたいと思っています。お金をかけるのであれば、本当にかけないとちゃんとしたものを作るのは無理じゃないですか?だからお金をかけなくても面白い「こいつらバカじゃねえの?」って思われるようなものになればいいかな。曲には自信があるので、映像はバカっぽくてもいいんじゃないかなって。
 
Yosuke:とりあえず今度東京キネマ倶楽部に4月5日、ライブを行う予定となっているのですが、PV中に流れる映像の中で、ライブ動画はそのステージのものを撮る予定です。
 

—レコ発ライブですね?

 
Kelly:そうです。この日はアルバム全曲を一気に通すようなショーケースにしようと思います。もうここでは僕のお得意のMCは、大幅にカットして(笑)。だから2時間以内でコンパクトに収めようとしています。で、6月にもここでステージをやるのですが、そのときは3時間ぐらいやったろうか!と思っています。
 
Yosuke:その間は、まあツアーではないですが引き続きセミナーで各地を回るような恰好ですね。
 
Kelly:まあこれも新しい形だと思うんです。なかなか難しいんですけど、CDを売るために「リリースしました!」「ツアーします!」って、リスクもかなり高いので。もちろん大きなプロモーションがあれば話は別ですが、僕らはすべて自分たちでそういったプロモーションも行っていくので、そういう方向もあると考えているんです。
 

—なるほど。

 
Yosuke:まあ曲もプレイするにはとても大変な曲ばかりなんで(笑)
 
Kelly:二日連続もやりたいか?っていうと、正直…(笑)。かなりのアグレッシブ感はありますから、正直いえばしんどいです。それでホテルがシングルで、おまけに喫煙ルームにされた日にゃ、僕はもう死んでしまいますから(笑)。僕はどうもこのルックスから「どう見てもタバコ吸って酒も飲むだろうお前?」とか、結構勝手な印象をされるんですけど、辛い思いをするだけで(笑)
 

—健康的ですね(笑)

 
Kelly:ちょっとひとこと言わせてもらっていいですか!?健康じゃないと僕の曲はできないですよ!(笑)。本当に自分がセミナーであんな曲をやっていて、「俺は死ぬんじゃないか」って思ったことがありましたから(笑)。だからいつも元気でいること。
 
その一方で、僕らの音楽を聴いてお酒を楽しむ人がいる、それこそが僕らの仕事なんです。「自分たちが楽しい」というのはダメなんだと思います。だって、飲み過ぎてダメになる人っていっぱいいるじゃないですか?ミュージシャンでも。だから一流の人って、たぶんあんまり飲んでいないんじゃないでしょうか?ストイックだと思うし。僕らも体力勝負のバンドだし。
 
反面、逆にシングルカットできそうな曲も今回は結構入れたんです。そういう曲が、なにか「間違って売れてくれないかな?」なんて考えて(笑)。間違って売れて、間違って同じような曲を何回もプレイするような人生になったら、それも楽しいかな、と(笑)。それがなければ、仕方なく引き続き頑張って(笑)
 

—「間違って」なんて、レーベルの方に怒られちゃいそうですね(笑)

 
Kelly:でも、世の中結構、そういうことが多いです、きっと。狙っていたところが当たらないとか。「なんでこれが売れるの!?」って、たぶんあると思うんです。キングレコードさんだって演歌とか、どんなスマッシュヒットが出るかもしれませんし。
 
実は僕のやっていることも演歌と実はそんなに変わらないです。セミナーってドサ周りみたいだし(笑)。セミナーへ行くと常に大手のCDショップってあるんですが、だからこそレーベルさんを通じて、ショップの方には確実に「絶対に営業に行きますから」と伝えてもらって。そうすると営業しやすいですし、ショップのご担当さんもアーティスト本人が来て嫌がることはないですし。そんなことを一緒にタッグでいこうかな、と思っているんです。
 
セミナーをもう2年半やってきて、今になって「全部つながってくるな」って最近思うんです。昔は「営業さんっていうのがちゃんといらっしゃるのに、アーティストが勝手に宣伝するのは筋が違う」と僕は思っていたんです。でもそんなことを言っている場合ではないと思います。担当さんもいろいろ大変だと思いますから、自分なりのアプローチも必要だと思いますし。
 

—それはKellyさんとしては、営業サポートという考え以上に「自分で動くことに大きな意味がある」という考えがあるのでしょうか?

 
Kelly:いや、今のところは単に「行った場所にあるから」というだけのことで、別に自分から動いているわけではないと思っています。ただ、目の前にTOWER RECORDSがあるのに、なにもしないで帰るよりは、ご担当さんに「よろしくお願いします」とご挨拶するだけでも大きく違うと思いますから。先程話した98年の自主制作盤リリースのときは、僕は毎週diskunionに顔を出していたら、ご担当の方はすごく喜んでくれて「今日は何位ですよ!」とか言ってくれたので。そういうところからやっぱり「ドサ周り」は大きな意味があると思っています。
 
でも実力がなければそれはできないです。僕は自信を持ってやっているので、「その場でなにか弾け」とか言われたら、喜んで弾きすぎるくらい弾いちゃう(笑)。そういうこともできるので、今後はそういう流れで。今後は「マネしづらいスタイル」を作りたい、というのが本音です。僕しかできないもの、他の人にはできないものを築いておけば、絶対に消えないと思うんです。売れる、売れないというのは、僕は運だと思いますし、そこは実力だけでは限界がある。
 

—その「自分にしかできないもの」というのは、当然ギターのテクニックというものだけではないと?

 
Kelly:もちろん。僕はこんな名前も含め、トータルとして「自分じゃない自分」を演じてやってきましたから、本当は「俺はKellyじゃないぞ」的な風なんです。でも、ステージに立つときにはこの雰囲気で「なんだかわからない人」的な。そしてそのバックには見劣りしない人ということで、YosukeKazという「Good Looking!」な二人を選びましたから(笑)
 
ただ、音楽ですから。僕にはファンクラブというものはないし、正直そこはネックだけど、ビジネスとしてやっていくにはそういうところは必ず必要だし、ライブでの集客とかなんとかというものも、そういうネットワークの勝負だと思うので音楽的には、プロデュースは得意ですけど、全体ビジネスとしては、まだまだというところもあります。
 

—でも、今後どういう目標に向かって自分が進んでいくか、というような道すじは、今のところほぼ見えてきているような感じではあるのでしょうか?

 
Kelly:そうですね。僕は本当に20年以上の願いだった正統派のハードロックという純粋なアルバムを、キングレコードというメジャーレーベルからリリースするという願いはかないました。だから、これをただ続けていくというタイプではないです。それこそ僕は変幻自在に行きたいし、先程言った「ロン毛でなければいけない」(笑)、なんてスタンスとは違う。やっぱり音楽が好きなんです。
 
もともと本当に長い間好きだったという音楽は、今でもStingThe PoliceなんかのUKロックだったので、いわゆるポップセンスがないと。僕は常にどんなジャンルでもポップでありたいと思っているんです。そういう意味では、ギターの効いた音楽というのはメインではありますが、ギターを効かせたいろんなジャンルの音楽にチャレンジしていきたいと思っています。また、歌に関してはいわゆるハイトーンのハードロックシンガーではないので、より自分の声を生かした作品作りを行っていきたいです。
 

—では、タイミング的に良い機会とメンバーも集まって頑張っていく、というところかと思いますが、今後の意気込み的なところを最後にメッセージとしていただければ。

 
Kelly:いやもう、ファンの方々には「お待たせしました!」としか言えない(笑)。復活という形では、知っている人にしか知らない事実ではあるけど、そういう方には本当に「お待たせしました!」という一言。それと今から初めて聴いていただく方には、本当にそれでも全然かまわないので、以後お見知りおきを、ということです。よろしくお願いいたします。僕は本当にこれだけやれることをしたし、それに対しては、いろんなそれぞれのとらえ方をしていただいてかまわない。ただ、自分のポリシーはつらぬけた作品になっていますので、ご自由に楽しんでいただければと思います。
 
hana
 
Kelly SIMONZは、よく「自分に自信がある」という言葉を口にすることがある。普通の人間がこんなことを口にすると「なんて自信過剰な」と思われることだろう。実際、このような認識を彼が受けたことも少なくない。しかし、彼のその言葉には大きな裏付けがある。その言葉にある「自信」とは、長く音楽に携わって、苦労を重ねながら見てきた彼の音楽、そして合わせて培ってきた彼自身の音楽観、センス、技術があってのことだ。決して彼は口だけの男ではない。
 
また、ギタリストという側面で注目を集めてきた彼だが、むしろトータルな面で音楽を見る視野があることは、非常に興味深い。特にギターという楽器はマニアックな趣向に陥りやすい楽器であるが、そこに溺れず、自分の作る作品を主観、客観共に非常に注意深く見る、そんな音楽に向き合うための姿勢が、彼には感じられる。今回リリースされたアルバムも、サッと流して聴いてみれば単なるハードロックに集約されてしまうかもしれないが、注意深く一つ一つの音に耳を傾けてみれば、それぞれに深い意味を感じることができるはずだ。デジタルが氾濫する世の中で、今回彼が敢えてアナログ感にこだわり挑戦したことには、手間暇をかけた質の高い音を目指した結果の一つともいえる。
 
今回のリリースで自らの『復活』を掲げたKelly SIMONZだが、その言葉にはいろんな意図も感じられる。文字通りの「シーンへの復活」という意味だけであれば、このアルバムを境にまた苦境に立たされる可能性もあるだろう。だが、あくまで自分の自信をとなえる彼に、そのような死角は見当たらない。自分がミュージシャンとして、音楽を作るものとしてなにをすべきか、彼は自分の進む道に今や迷いを示していない。目まぐるしい変化を遂げる音楽シーンの中でも、彼らしさをそのままに変幻自在の音楽を生み出し、その存在を確固たるものにすることだろう。彼のそんな姿を、引き続き追っていきたい。
 

Kelly SIMONZ’s BLIND FAITH『BLIND FAITH』
発売日:2014/03/26
KICS-3035/3,000円(税抜)
【収録曲】
M01. N.W.O
M02. Burning In My Soul
M03. Toki-No-Kakera
M04. Requiem
M05. Signs Of The End Of The World
M06. The End Of The Beginning
M07. Opus#2-No.1
M08. Revelation
M09. Opus#2-No.2
M10. Nocturne
M11. Allegro Maestoso
M12. Silent Sorrow
M13. Now Your Turn

 

◆ライブ情報
『Tokyo Kinema Club “The Sixth” “The Brave New Wolrd Order 2014″』
2014年04月05日(土) 【東 京】東京キネマ倶楽部
(Special Guest YAMA-B
開場16:00/開演17:00
前売り 3,500円/当日 4,000円 (ドリンク別)
 
Sign Of The Timesから16年、揺らぐ事のない信念を貫き進化し続けるKelly SIMONZが新たなるメンバーを引き連れ、3月26日に復活の最新作『BLIND FAITH』をリリース。これを記念しリリース直後に行われる東京キネマ倶楽部でのライブ。今回6回目になるステージは、今まで支え続けてくれたファンの皆様のみならず新たなBLIND FAITHファンを獲得する事も間違いありません。アルバムにも参加しているYAMA-B氏もゲスト出演するとあって、彼とKellyのコラボレーションを期待している皆様にも間違いなく衝撃を与えるコンサートとなりますので、是非ともお越し下さい。
 
※今回、メジャーリリースとはいえステージは東京キネマ倶楽部のライブに関しては従来同様にKelly SIMONZの自主興行になっておりますので、チケット予約に関してはすべて東京キネマ倶楽部のお問い合わせフォームにての受付になります。
※-申し込み方法-※
http://www.kinema.jp/contact/
上記URLにアクセスしていただき、お名前 購入枚数 ご連絡先を明記の上、フォームを送信にてお申し込み下さい。※後日、会場より返信メールが送られてまいります。(くれぐれもメールアドレスのお間違いの無いように宜しくお願い致します)

 
◆オフィシャルサイト
http://www.kellysimonz.com/

◆関連記事

【連載】愛しのサプリメント
http://www.beeast69.com/category/serial/drugstore
『エフェクターの祭典、EffEXPO(エフェクスポ)』 第二回 (Part1)
http://www.beeast69.com/feature/91685
【連載】ブレス オブ ヒーロー 第2回:Kelly SIMONZ
http://www.beeast69.com/serial/hero/81080
密着レポート第6弾 Kelly SIMONZ “The Third”  Revelation 2012
http://www.beeast69.com/feature/18098
【コラム】Super Funny Life of Super Guitarlist ~Kelly SIMONZ~
http://www.beeast69.com/column/kelly