コラム
ファンタジー私小説「ティーンエイジ・ラブリー」
森若香織
スーパーガールズバンド「GO-BANG'S」のヴォーカル&ギターでデビュー。 "あいにきてI NEED YOU"等をヒットさせ、武道館公演を行う。アルバム「グレーテストビーナス」ではオリコン第1位も獲得。 現在は作詞家として活躍中の他、ソロ音楽活動や舞台ドラマ等の女優活動もしている。

「Xオフェンダー」ブロンディー


~1番好きなバンド~
「Xオフェンダー」ブロンディー

1番好きな「音楽」というのは、気分や日によって変わったりするが、1番好きな「バンド」となると、意外と変わらない。
それはまるで「生涯の伴侶(離婚ナシ)」のように、おそらく死ぬまで共に過ごすのである。

私の「伴侶」は「BLONDIE」だと思う。勝手にそう思っている。
伴侶イコール身内なので、もはや緊張感はなく空気のような存在で、無くなると窒息。
なくせに毎日聴くわけではない。むしろ忘れているシーズンもある。
が、時々ほかの音楽に夢中になったとて、帰るところはやっぱり「おまえ。そうBLONDIE」だ。「死ぬまで愛している」のだ。たぶん……と、熟年夫婦、しかもなぜか「夫」のポジションのようになってしまったが、この感じ。私にとってはかなりリアルだ。
ああ、もちろん勝手に。

BLONDIEと出逢った頃はまだ「ベストヒットUSA」すら始まってない時代で、音楽PVなど見たことも聞いたこともなかった。
ので、私はたいていの音楽を「ラジオ」で知った。にもかかわらず、BLONDIEだけは「テレビ」で知った。(しかも11PM)レアな出逢い。この出逢いこそが、すでにスペシャルである。「あ、私この人と結婚するな」みたいな。(ちなみにこのような「伴侶予感」は、BLONDIEと、ペットのチワワ以外ありません)

ある日、テレビの中、というか11PMの中で、デビュー後初来日したBLONDIEが、大橋巨泉愛川欽也に紹介されて、この「Xオフェンダー」を生演奏していた。
初めて知ったこのバンドの魅力に釘付けになった私だったが、なにせ番組が番組なだけに、ほかのタレントたちとバンド演奏が「馴染まない」という悲劇はぬぐえなかった。
しかし「Xオフェンダー」は、そのカオスティックな映像さえぶっ飛ぶほど「いい曲」だと思った。
しかもこのバンド、おしゃれなうえにカッコいい。カッコいいけど何かが面白い。
動きか?空気か?人柄か?とにかく「私好み」なバンドだ。
ボーカルのお姉さんが、ブロンドヘアにピンクのワンピースを着てパンキッシュに歌っている。こんな歌い方は始めて見たぞ!あ、間奏ギターソロ前「X、オフェンダ~~」の「X」で両手を「X」のカタチにした。オリビア・ニュートンジョンやリンダ・ロンシュタットにはできないポーズ。
可愛い可愛い可愛い。声も歌い方もファッションも、なんつー素敵な女なのだ!

http://www.youtube.com/watch?v=Fi5PLg4K8Aw

はい、その通り。
この人がデボラ・ハリーでございます。唯一無二と書いてデボラ・ハリーでございます。
セックス・シンボルあたりまえ、しかしそれ以上に注目したいのは「歌の上手さ」オフェンダー(犯罪)。
今どきの「R&B系うまさ」とは違う「パンクセンスの上手さ」がずば抜けている。
いそうでいない歌唱方。デボラスタイル。

テレビ後、ちゃんとシングル盤を買って改めて「Xオフェンダー」を聴いた&歌った(部屋で)やはり「いい曲」だ。
この曲はドラムに合わせた「セリフ」から始まるのだが、
その時点ですでに上手い。その後のラップ(ラプチュアー)を予感させる「ラップ予感」有り有りだ。
セリフ後、モッズ風ドラムフィルのあとに、ポップなキーボードリフ。
で、歌。声良し、リズム感良し、SWEET&毒良し。絶妙なセンス良し!

センスと言えば、BLONDIEじたいが奇跡的にセンスがいいバンドで、ロックはもちろん、ジャズもレゲエもディスコも、あらゆるジャンルを「BLONDIE風」にしてしまう。そしてデボラ・ハリーはどんな「風」もこなす。
なんとゆーか「それ一筋」感がないのだ。
この「X・オフェンダー」も当時のラモーンズイギー・ポップの「一筋」ではなく、「CBGBに集まるニューヨークパンク」の「BLONDIE風」だと思う。
サブカルチャーにとどまらず、超一流のバンドになって行く予感。
また「予感」。
BLONDIEにはたくさんの「予感」があるなあ、なんて思っていたら、デボラ・ハリーのファーストソロアルバムは、邦題が「予感」なのであった。
オフェンダー!
おしまい。

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